柏野雄太さんの投稿で知ったのだが、ネイト・シルバーの『シグナル&ノイズ』以来、実に10年以上ぶりになる新刊 On the Edge が8月に刊行される。
ネイト・シルバーといえば統計学者として知られ、FiveThirtyEight を立ち上げて選挙の予想を行い、2008年のアメリカ大統領選挙でほぼすべての州の勝者を予測したことで一躍名をあげ、翌年には TIME の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれている。そして、上記の『シグナル&ノイズ』を刊行したあたりでその名声は頂点を迎えた。
彼は、ゼロ年代後半以降にデータ・サイエンティストがもてはやされるようになった最大の立役者といえるだろう。
しかし、2016年の大統領選挙でドナルド・トランプの勝利を予測できず、威光に陰りを見せた。彼が立ち上げた FiveThirtyEight が New York Times ブランドに入ったあたりまでは追っていたが、2013年には ESPN に買収されてたのね。そして、2018年には ESPN から ABC のニュース部門に移ったが、2023年に行われたレイオフで、創始者の彼も追い出されてしまった。
その後はポーカーのセミプロとしてプレーしながら(ポーカー自体は昔からかなりやっていたとな)Substack を舞台に執筆をつづけているが、今回「すべてを賭ける技術」という副題の本を出すことになった。カジノからベンチャーキャピタリストまで、プロのリスクテイカーに取材した本であり、執筆に3年かけたそうな。
本の第一部はポーカーやギャンブル周りの話、第二部ではイーロン・マスクやピーター・ティール、そしてさきごろ7つの罪で禁錮25年の判決を受けたサム・バンクマン=フリードなどの話、そして第三部では OpenAI のサム・アルトマンの話が出てくるようで、ポーカーには興味ない人でもテック関係でいろいろ読みどころがありそうだ。