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『AIの倫理学』に続く邦訳『自己啓発の罠: AIに心を支配されないために』が出たマーク・クーケルバークの多作ぶりに舌を巻く

note.com

このエントリ経由で『自己啓発の罠: AIに心を支配されないために』という面白そうな本が昨年出ていることを知る。

この本の著者のマーク・クーケルバークという名前になにかひっかかるものがあり、試しに自分のブログを検索したら、この人『AIの倫理学』の著者やないかと気づいた。

つまり、『自己啓発の罠』は彼にとって、『AIの倫理学』に続く邦訳二冊目ということになるのだが、ここにいたってマーク・クーケルバーク(Mark Coeckelbergh)って何者なんだろうと調べて驚くことになる。彼はウィーン大学の哲学科の教授であり、邦訳された二冊の本の著者というのも不思議ではない。

ワタシが驚いたのはもちろんそこではなく、彼が昨年から今年にかけてすごい勢いで本を刊行していること。

まず2022年2月に The Political Philosophy of AI: An Introduction を出している。前作が「AIの倫理学」だったのが、こっちは「AIの政治哲学」(!)である。ケイト・クロフォードが推薦の言葉を寄せている。

続いて、2022年7月に Self-Improvement を出しており、これは『自己啓発の罠』の原著である……って、原著刊行から3か月くらいで邦訳出たのか! 青土社、仕事早いな。

そして、2022年9月には Robot Ethics を出しているのだが、版元が同じ MIT Press で、『AIの倫理学』の続編としての『ロボットの倫理学』ということだろう。

さらには、2023年はじめに Digital Technologies, Temporality, and the Politics of Co-Existence を出したばかりだったりする。やはりソーシャルメディア人工知能などのデジタルテクノロジーと我々人間との関係を哲学的に考察する本のようだ。

いやはや、昨年から今年にかけてだけ見れば、キャス・サンスティーン並みの多作といえる。それにしても一年で4冊はスゴい。

しかもその本が扱う内容が、最新テクノロジーと哲学や倫理学が交差する内容を扱う、とても時宜をえたものなので、『自己啓発の罠』に続く邦訳が期待できるんじゃないかな。

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