Frank Pasquale(彼の苗字はパスクアーレ、パスクァール、あるいはパスカルのいずれで表記したものか)のことは、4年以上前に「我々は信頼に足るアルゴリズムを見極められるのか?」で引き合いに出しているが、彼の前作『The Black Box Society』はちゃんと取り上げられなかった悔いがある。
その彼の新刊 New Laws of Robotics が出ているのを知った。
New Laws of Robotics: Defending Human Expertise in the Age of AI
- 作者:Pasquale, Frank
- 発売日: 2020/11/06
- メディア: ハードカバー
AI は我々の仕事や生活を破壊しようとしており、我々は技術の虜になるのではなく、しかるべき規制をかけて技術を利用しなければならないという論陣を張っており、つまりはロボットや AI の危険性を説き、人間の専門技能による職を守らなければならないという、それだけ見ると少し古めの論に思われるかもしれない。
そこで読んでいただきたいのは、Guardian への寄稿、というか新刊からの抜粋なのだけど、軍事用 AI はますます現代の戦争で利用が広がっており、その倫理的な問題や危険性は大変なものであり、生物兵器や化学兵器同様に規制が必要だと論じるものだ。もはや「虐殺ロボット」は、SF 小説や映画の中の話ではないのである。
そういういろんな分野におけるヤバいところを論じた上で、しかるべき規制をかけた上で人間の労働の価値を高めるようロボットシステム(AI)を利用する方向性を推しているわけだ。
この新刊の推薦者を見ると、『監視資本主義の時代』のショシャナ・ズボフ、『Algorithms of Oppression』の Safiya Noble、『邪悪に堕ちたGAFA』のラナ・フォルーハー、『Atlas of AI』のケイト・クロフォードなど、このブログでもおなじみな人たちの名前が挙がる。特にケイト・クロフォードの仕事は、この新刊と親和性がある。
これは邦訳が出てほしい本ですな。