当ブログは YAMDAS Project の更新履歴ページです。2019年よりはてなブログに移転しました。

Twitter はてなアンテナに追加 Feedlyに登録 RSS

YAMDAS更新

蘊蓄linksにおける「蘊蓄抜きでリンクしたいサイト」恒例の入れ替え。

実は『結城浩のWiki入門』の読書記録を書きかけていたのだが、ちょうど結城さんに『フェルマーの最終定理』の読書記録好意的に取り上げていただいた。それ自体は大変光栄なのだが、それを受けて書かれたと思われるのが気になり、今回はパスした。そういうのを気にする必要はないのだろうが、どうでもよいことにこだわってしまう人間ということで。

さて、ウェブログ以前/以後で変わったことの一つに、「リンク集」ページがあると思う。昔は、表紙ページと自己紹介ページとリンク集と掲示板を設ければ個人ページ一丁あがりなんて言われたものだったが(あとウェブ日記かな?)、サイドバーが普及するようになり、それがその役割を担うように変わり、「リンク集」ページが少なくなりつつあるように思う。

そうした意味で、当方のサイトなどオールドウェーブには違いない。それは別としても、五年以上基本的なサイト構成にほとんど変更がないというのも、ものぐさにもほどがある。

賢い質問のしかた

esr の How To Ask Questions The Smart Way の日本語訳。原文は随分前から公開されている文章だが、訳してくださった方に何より感謝。ネタ元は Good Wrappers For People Who Love Bad Know-How

結城浩さんの「技術系メーリングリストで質問するときのパターン・ランゲージ」あたりとあわせて読む……ことをちゃんとする人は元から問題なく、こうした文章を読むべき人間が横着するのが一番の問題なのだが、まあそれはそれとして。

個人的には英語の使い方の話が面白かった。例えば、"Thanks in advance" は使うべきでないという意見とか。しかし、大文字小文字の正しい表記について、Alan Cox なら許されるが、お前はダメ、のくだりは原文を読んだとき笑ったところだが、実際に英語圏メーリングリストに入っている人ならご存知のように全部小文字で通す人そこそこいるよね。

で、東浩紀は相手にちゃんと問題を指摘したのか?

「ファッションとしてのCreativeCommons」というのは、個人的には何を今更という話でしかなく、blog でネタにするのは別にいいのだけど、じゃあ、アナタはヤノベケンジにメールなりで知らせたのか? と思ってしまう。

エントリが公開されてから一日以上ヤノベケンジのサイトがそのままなのは、それをやってない可能性が高いように思うのだがどうなのだろう。これは意見が分かれると思うが、もしそれをしてないで、「CCの理念はもう少し真剣に受け止め、長期的に取り組むべきものです」なんて文章を読んでも、鼻白むばかりである。本当に真剣に受け止めているなら、書きっぱなしでなくあと一歩直接的なアクションを取ってもいいのではないか。

前述の通り、この手の話は個人的に非常に今更の話である。かつて Movable Type 利用者に散見されたアサハカ系のカッコつけのバカ……おっと、手が滑った、その一部にいらっしゃる思慮の足らない方々と Creative Commons の問題については、一年以上前に「ぶったくりコモンズ(Uncreative Commons)」という文章を書いたことがある。以前にも紹介した Why your Movable Type blog must die日本語訳)にも CC 絡みの話が出てくるが、海外でも CC がファッションとしてブロガーに利用される(ように見える)風潮があるようだ。

しかし、「ぶったくりコモンズ」は結局一般公開しなかった。これは貧乏性の当方にしては極めて珍しいことである。理由は、キチガイに粘着されるのが目に見えていて嫌気がさした、とだけ書いておく。

もうこれは書いてよいと思うが、結城浩さんの「クリエイティブ・コモンズのライセンスをWeblogツールで使うことの危険性」は、当方の文章にインスパイアされて書かれたものである。誤解のないように書いておくと、件の文章は100%結城さんオリジナルの文章であり、質的にも当方の文章より遥かに普遍的な内容を持っている。そしてもう一つ CC のライセンス問題について語る際に引き合いにされる文章に、加野瀬未友さんの「JBAの問題点に関する報告/JBAとネオテニーの関係について」があるが、これについても当方は公開前に草稿を読ませていただき、CC の部分についても意見を述べさせてもらった。

要は、上記文章へのわずかなりの貢献という形で、ワタシなりに CC のライセンス問題については取り組んできたということだが、それらが公開されたのってもう随分前の話じゃないか。まさか東浩紀はそれらの文章を知らないとか? もうこういう話を書いて、大局的に考えてますという顔をする段階はとっくに終わっていると思っていたが。東浩紀の文章は、それ以外にもなんかピントがずれているように思えるところがいくつかあるのだが、それはともかくこうした指摘が定期的に行われることが必要なのかな。

で、ワタシは今、おかしな事例を見かけたら、直接相手に指摘するようにしている。例えば COULD の「お役に立つかも」がそうで、元々 CC で公開しますと書いて、リンクが CC のサイトのトップページにはってあったのを、ちゃんとライセンスを選んだら、と指摘させてもらった。

これだって、書籍の著者ともあろうものが、などと大げさにあげつらうエントリを書くことだってできただろう。でもそれをやって、誰が何の得をする? 価値のない文章と相手の不快感が残るだけじゃないか。さっさと指摘すれば、確実に一歩前進するのに。その後にでも、問題を指摘する普遍的な文章は書けるはずだ。まあ、ワタシだってすべてのケースで相手に指摘するわけじゃないけどね。

最後に脇道で不満を書いておくと、東浩紀のエントリへの FlowerLounge さんのコメント。ぬるいよ。FlowerLounge さんには以前にも CC 関係で噛み付いたことがあるが、今回はそれと違った意味で歯がゆさを感じる。東浩紀が絶好のトスをあげた……というか、トスにすべく一発かまさなきゃ。東浩紀は、実はどうでもいい。パブリシティの話だ。ここでバシっと情報を出すことが、あの blog を読んでいる読者へのアピールになるし、萌えクリ本はその層にアピールするものじゃないの? それに以前から刊行されることは決まってたでしょ? いや、本当に事情があって「近日中に何かあるかも知れません」としか書けないのなら仕方ない、というかこの段落は書き過ぎということになるので謝りますが。

[追記(2004/05/11 01:34)]

コメントを受けて、一部表現を修正した。またこちらはそのまま残したが、コメントにもある通り最後の段落は書き過ぎであった。FlowerLounge さんに深くお詫びします。

なお、当方の文章を読んでどういう感情を持とうが読み手の自由ですが、勝手な深読み、軽率なコメントは控え目にしていただけると幸いです。

ベティ・サイズモア

DVDジャケット

もちろん映画総体として優れているのだが、何より主演女優の類まれなる魅力とともに記憶される映画というのがある。個人的には、フェリーニ『道』におけるジュリエッタ・マシーナを頂点として、近年の映画では『マルホランド・ドライブ』ナオミ・ワッツ『恋する惑星』フェイ・ウォンなどが浮かぶわけだが(つまり、ワタシにとって『恋する惑星』は後半部がすべて)、『ベティ・サイズモア』もその系譜に入る作品である。

以前町山智浩さんが、「最近、カン違いで美人の役をあてがわれるようになったレニー・ゼルウィガー」などと書いておったが(笑)、確かに彼女は、例えばその最新作で共演している二コール・キッドマンのような意味での美人女優ではない。

しかし、どうだ、本作における彼女のチャーミングさは。田舎町のウェイトレスという平凡を絵にかいたような女性として登場し、ほんの数分でこちらは彼女に魅了され、映画全編を通して感情移入せずにおれないのだ。「カン違い」があったとすれば、本作などでの彼女の演技が魅力的過ぎたからである。

それにしてもユニークな、というかヘンな作品である。ヒロインは頭の回線がショートしてしまったウェイトレスで、しかも彼女を追う殺し屋にさえ、最終的には観客は感情移入してしまうのだからすごい話である。演じているのがモーガン・フリーマンというだけでは説明がつかない。要は脚本がよくできており、目の行き届いた演出がなされているということなのだろう。

本作を観るのは二度目だが、正直初回ほど興奮はしなかった。はじめ観たときは一体ヒロインの妄想がいつどのように破綻するのかというのを息を詰めて見守ったわけだが、今回はそれがない分、作品全体の良さが分かったように思う。一方で、以前はクリス・ロックの騒々しい演技に白けさせられたが、考えてみれば本作は主役二人が前述のように相当な「ボケ役」なので、彼が威勢良くツッコミまくるというのもアリなのかなと少し印象が変わった(もう少し踏ん張ってほしかったけど)。

さて、本 DVD には上に名前を挙げた主要キャストと監督による音声解説が入っている。最近の作品で、ここまで豪華メンバーで音声解説が入った作品はないのではないか。それだけ皆、この作品のことを気に入っているのだろう。

最後に一点苦言を呈しておくと、本作は元の脚本から随分カットしてできたようだが、クリス・ロックの台詞で「痩せた女」とヒロインを評する箇所があり、こういう実態と合わない台詞こそ削除しろよ(笑)。何かのギャグかと反応に困ったぞ。

[YAMDAS Projectトップページ]


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
YAMDAS現更新履歴のテキストは、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

Copyright (c) 2003-2023 yomoyomo (E-mail: ymgrtq at yamdas dot org)