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映画のエンディングについてふと考えたこと(キューブリック、フェリーニ、はてなダイアラー映画百選)

少し前に digg あたりで filmcritic.com の The Top 50 Movie Endings of All Time という記事が話題になっていた。

映画のエンディング50選というわけだが、考えてみれば一般に名画と言われるものはたいていエンディングだってよくできているのだが、それを言うのは野暮というものか。

こうしたランキングにはどうしても文句が出るもので、ワタシなんかもどうして『第三の男』が入ってないんだよとまず思ったが、一位がスタンリー・キューブリックの『博士の異常な愛情』なのは唸りつつも納得せざるをえない。三谷幸喜朝日新聞夕刊の連載で、これを最高のコメディ映画として挙げていたっけ。「総統! ワタシ歩けます!」

キューブリックの映画は『博士の異常な愛情』以降はすべて観ているが、そういえばどれも的確な終わり方をしていると改めて思った(もっとも『シャイニング』には幻のエンディングも存在したようだが)。

しかし、前述のリストを見たとき、まずワタシの頭に浮かんだのは、38位に入っているフェデリコ・フェリーニの『81/2』である。

この映画はフェリーニの代表作とされ、つまりは映画史に残る作品とされる。ワタシはボンクラなので、一度観ただけでは『81/2』を咀嚼できなかった。だからフェリーニの映画でも、『道』や『甘い生活』のように心から「傑作!」とは言えない。また機会があったら取り組んでみようと思っている。

フェリーニやこの映画に主演したマルチェロ・マストロヤンニが死去したときは、皆こぞってこの映画の終盤における主人公の台詞を引用したものだ。

人生は祭りだ。ともに生きよう。
君にも他の人にも、僕はこれしか言えない。
ありのままの僕を受け入れてくれ。

ワタシも大好きな台詞だ。でもさ、これを嬉々として引用した人は皆、本当にこの映画を観てたのかな? これが何か詩的で美しい場面で語られたと思ってない? この台詞は、仲が冷めてしまった妻に対してぼそぼそって語られるものなんだよ。

そしてこの台詞の後、映画はとんでもないとしか言いようのないエンディングに突入するのだが、ワタシ自身すげーっと思いつつも、本当にこれでよかったのかな、「人生は祭りだ」と言ってしまうのではなく、別の決着のつけ方はなかったのかなとずっと思っていた。

そのワタシの疑問に応える文章をウェブで読むことができたときは感激した。matterhorn さんの文章だが、これを読んで二年以上になるのか。

この文章に付け加えることは何もない。久方ぶりに再読して、この文章の最後で非常に微妙な緊張が身体に走ったのも思い出した(笑)

そうそう、これははてなダイアラー映画百選のために書かれた文章だった。まだ続いているのかなと思って見てみたら、今年の三月で50に到達した後止まっているようだ。

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