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『デジタル音楽の行方』で読み解く!(タワーレコード倒産、PandoraはWeb 1.0的か)

前にもやったような気がするが気にするな! ちなみに今日の画像も Wikimedia Commons より。

先週はタワーレコードの倒産がニュースになったが、特に新聞報道など、それの原因が iPod音楽配信サービスにあるといった論調が多く、政治的意図を疑ったほどだ。

こないだの MOK Radio津田大介さんがこれについてきっちり語っていたが、それを聞きながら「おい、『デジタル音楽の行方』の名前を出してくれよ、金髪!」とシャウトしていたのはヒミツである。

冗談はともかく、えるみれに続いて中島聡さんが的確な分析を書かれている。特に後者を読めば十分なのだけど、悔しいので『デジタル音楽の行方』から引用させてもらう。

 ターゲット、ベスト・バイ、サーキット・シティ、そしてウォルマートといった量販店が全CDセールスの五〇パーセント以上を占めており、アメリカにおける音楽の小売販路のあり方をすっかり変えてしまった。比較的少ないタイトル数に絞って激しく値引きして(しばしば実際の卸売原価割れで)CDを売ることで、彼らは店舗に客寄せする「目玉商品」として、他のものを売るのに音楽を利用しているのだ。これらの小売業の巨人達は、現在アメリカの市場で最大のシェアを握るところまで達している。ウォルマートだけでアメリカで売られるすべての音楽のおよそ二〇パーセントを占めている。ウォルマートの大半の店舗には通常七五〇以下のタイトルしか置かれていないことを鑑みれば、これは驚くべき数字である。個人経営の小売店もタワー・レコードやヴァージン・メガストアなどの音楽専門チェーンもこのような値付けに太刀打ちできないのだ。(131ページ)

『デジタル音楽の行方』には、この数年で1200の音楽小売店が店を畳んだことをあわせ、この話が何度も登場する。実はワタシも mhatta ポッドキャストに参加したときにこの話をしている。AmazoniTMS といった(ロング)テール部分で勝負できるプレイヤーがないと、再販制度の廃止は音楽の多様性を狭めてしまう結果になりかねない。

続いて栗原潔のテクノロジー時評Ver2の「意外にもWeb 1.0的なPandora」だが、ちょうど Pandora についてはオライリーのサイトに Inside Pandora: Web Radio That Listens to You という記事が公開されていて、「アナリスト」が仕事する画像もあるし、人でなく機械に分析をまかせるアプローチについての CEO の回答も載っている。

『デジタル音楽の行方』でも Pandora の基となった Music Genome Project について触れているが、これが人海戦術になることをちゃんと見通していた。

 MusicGenomeなど一部の既存技術は、あなたがたくさんジャズを聞くからといって、レコメンデーションが全部ジャズの曲にならないように、普段聞いているジャンル以外の音楽作品もレコメンドできる。このようなアプリケーションの真の便利さは、巨大なコンテンツデータベースが開発でき、しかも「中身の濃い」カタログから、より正確で賢いマッチングが作られないと明らかにならない。誰か一千万曲の中身の濃いメタデータのインデックスを作り、点を結んで音楽データベースの全体像を作り上げるのに千人の音楽大学の学生を雇うだけの余裕ができるまで待たないといけない!(232-233ページ)

それを40人でやっているわけだからすごいとも言えるが、これはある意味 Amazon.com 本家の創業期に雇っていた専門レビュワーに通じると思う。

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