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渚にて

人類がほぼ死滅し、破滅に直面した世界を描いた映画で、制作当時の冷戦を色濃く反映しているのは言うまでもない。

本作は過剰な破滅の映像でなしにグレゴリー・ペックエヴァ・ガードナーをはじめとするメロドラマに焦点があてられている。

この映画の「静かさ」は意識的なものだろう。もっとも死の灰が迫るオーストラリアの人たちがこんなに安穏に日常生活を送るわけはなく、それこそ「世界滅亡もの」の最高傑作であるリチャード・マシスンの「終わりの日」(世界文学史に残る短編だとワタシは思う)に描かれるような有様になるんじゃないか……という突っ込みは野暮なのか。確かに本作の人っ子一人いないサンフランシスコ、そしてラストは怖かったね。

ワタシ的には主役二人よりも、フレッド・アステアアンソニー・パーキンスという脇役二人のほうが良かった。片やダンスの名手、片や『サイコ』のイメージが強くこういう映画に似つかわしくないと思うかもしれないが、アステアのユーモアとシリアスさが共存した演技は後の『タワーリング・インフェルノ』につながるし、後者はノーマン・ベイツになっちゃう前の好青年役を好演している。

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