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ウディ・アレンの大ファンを自称するワタシだが、彼の映画を映画館で観るのはこれが初めてなのに気づき、我ながら呆れたが本当なのだから仕方がない。奇しくもそれが彼の映画の最大のヒットとなった本作だった、と。
近年の作品では、話題になった『マッチポイント』も正直そこまでかなと思っていたが、本作は久々にこれぞウディ・アレンと言いたくなる満足いく映画だった。
ご存知のように『マッチポイント』以降アレンは主に欧州を映画の舞台にしており、正直観光映画の謗りを免れないところがあったように思うが、本作はその構図を逆手にとり、1920年代のパリ、ガートルード・スタインのサロンにアーネスト・ヘミングウェイやF・スコット・フィッツジェラルドといった「失われた世代」の小説家やパブロ・ピカソなどの芸術家が出入りし、T・S・エリオットやサルバドール・ダリやルイス・ブニュエルや何よりコール・ポーター……書いててめまいがするような面々が交流する、本作でも何度も名前が引き合いに出される「移動祝祭日」を体現するパリに主人公をタイムスリップさせるプロットが実にうまく決まっている。
アレンらしく小ネタも気が利いていてとても楽しい映画だったが、ウェルメイドなコメディの枠に収まっているきらいはある。90年代以降の作品では『ブロードウェイと銃弾』(asin:B004WZ9550)のほうが好きかもしれない。でも、ワタシは彼のそんなコメディが好きなのだから問題なし。本作もオーウェン・ウィルソン演じるアレンの分身そのものな主人公は、夢のような1920年代(ふと気が付いたが、『ヒューゴの不思議な発明』の舞台は1931年なので、大体同時期ですね)の真夜中を過ごし、本作のミューズといえるマリオン・コティヤール演じるアドリアナに惹かれながらも決断を下すことになる。
本来であればもっと苦さを強調した終わり方でも良いように思うが、例えば『アニー・ホール』(asin:B0012P6CAO)のような少し甘みのある、例えば『世界中がアイ・ラヴ・ユー』(asin:B004WZ954Q)のような日常に立ち戻る感じがやはりアレンらしかった。
そういえば本作には前仏大統領夫人が出てたはずだが……と調べたら、美術館ガイド役の人か。まぁまぁよかったじゃない。