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ザ・ウォーク

本作は 3D で観た方がいいに決まっているのだが、ワタシは大の 3D 映画嫌いで、2D で観るつもりだったのだが、直前に「これは3Dで観ないと意味がない映画」という声を聞いて思い直し、結果 IMAX 3D 初体験となった。

本作を観てもワタシの 3D 映画嫌いには何の変わりもなかったが、確かに観ててひぇぇ! となるところがいくつもあったし、3D で観るべき映画だろうね(しぶしぶ)。そういえば本作の前半で画面に向かってものが落ちてくるあざとい演出があり、没入していたワタシは思わず過剰に反応してしまい、激しく赤面してしまったぞ。ちくしょう、ロバート・ゼメキスめ!

フィリップ・プティが挑んだワールドトレードセンターでの綱渡りというワタシが生まれてまもない頃の事件については、既に『マン・オン・ワイヤー』という優れたドキュメンタリー映画を観ていて、それがどういう結果に終わったのかワタシは既に知っていた。

しかし、残念なことに写真は残っているが、そのときの映像は残っていない。本作はその再現を行うわけだが、映画としては『マン・オン・ワイヤー』のほうが優れていると思うものの、やはりその綱渡りを映像化する本作には抗しがたい魅力がある。その挑戦が行き着いた詩的ですらあるものを本作は再現している。

ワタシはジョゼフ・ゴードン=レヴィットという人が『(500)日のサマー』以来好きなのだが、本作では彼が演じる主人公の師匠をベン・キングズレーが演じていて、彼の役柄が結構大きくて印象的だった。

『マン・オン・ワイヤー』では、あの快挙の後、それに尽力したプティの親友や恋人との関係が壊れてしまったことをちゃんと語っていたが、本作はそのあたりの描写が薄い。ただ、それを責めるのは少し違う。

本作のラストで、主人公はワールドトレードセンターの永久パスポートをもらったことを誇らしげに語るが、その後表情が曇る。それがなぜかは言うまでもないが、本作の主人公は実はフィリップ・プティというより、ワールドトレードセンターそのものなんだよね。本作は完成したばかりのワールドトレードセンターが照らしたまばゆさをも表現している。

そうした意味で、『ミュンヘン』を観たときも思ったが、9.11 がアメリカに与えたダメージをどうしても考えてしまうわけである。

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