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映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の内容はでっち上げで、フランク・アバグネイルの自己宣伝こそ彼の最高の詐欺だった?

whyy.org

スティーヴン・スピルバーグの映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』はワタシも公開時に観て楽しんだが、ブログの感想をリンクしようと探したが見つからない。この映画は、ワタシがはてなダイアリーでブログを書くようになる少し前に公開された映画なんだね。

さて、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の元となったフランク・アバグネイルの自伝小説の信憑性については以前から議論があり、フランク・アバグネイル自身本の共著者に責任を被せるような言い訳をしているが、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の主人公である詐欺師の「神話」を作り上げたことこそが、フランク・アバグネイルが実際に行った最高の詐欺だというのが新しく出た本のテーマらしい。

つまり、あるティーンエイジャーが、あるときはパンアメリカン航空パイロット、あるときは医師、あるときは弁護士と職業を偽装しながら、各地で偽造小切手を使った詐欺事件を起こしながら FBI の捜査官から逃げおおせたという話自体がほぼ作り話だというのだ。

実際には、アバグネイルはトランス・ワールド航空のパイロットを装い、ポーラ・パークスという客室乗務員を追いかけまわし、ほとんどストーキングの勢いで交際を迫ったという。彼女がバトンルージュの両親を訪ねると彼もついてきて、彼女はそうではなかったが、彼女の家族が彼のことを信用し、親切心を起こした。アバグネイルは彼らの小切手を盗むことでその恩を仇で返した。彼が小切手詐欺で騙したのはホテルや銀行、という話はウソなんですね。

この件でアバグネイルは逮捕されるわけだが、ティーンエイジャーだった彼が FBI に追われてそれこそ世界中を逃げ回ったという話は完全にフィクションで、その期間のほとんどを彼は刑務所に収監されていたのだ。

1974年に仮釈放されたアバグネイルはすぐに窃盗で逮捕されてしまうのだが、保護観察官に勧められて自分の話を売り込むことで彼の人生は変わる。最初は小規模な講演会で自分が犯した罪の話をしていたのが、どんどん話が大きくなっていき、1977年には To Tell the Truth という全国放送のテレビ番組への出演を果たしてしまう。このテレビ番組は実は現在も放送されているのだが、なんというか皮肉な番組名である。

そこでアバグネイルが披露した(嘘の)話が大受け。すぐ後に「トゥデイ」ジョニー・カーソンの「ザ・トゥナイト・ショー」と全国区のテレビ番組に次々と出演するようになる。

1978年にはサンフランシスコ・クロニクルの記者がアバグネイルの話を検証し、アバグネイルが吹聴する話が本当でないことを記事にし、その後にもアバグネイルの嘘を暴く記者が続くのだが、インターネットなどない時代、彼らの検証記事は広まらず、巧みに語られるアバグネイルの魅力的な法螺話のほうが人々の記憶に残り、しまいには『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』として映画化されてしまう。

そこで、フランク・アバグネイルの自己宣伝によって詐欺師の「神話」を作り上げたことこそが、彼が行った最高の詐欺だという結論になるのだが、それならインターネットがある現在ならアバグネイルの嘘はすぐに潰されたのだろうか?

そうかもしれないが、今回アバグネイルの嘘を検証する本を書いたアラン・ローガンは、誤情報がすごい勢いで広まることは十分に証明されており、特に有名人が陰謀論を支持すると、真実がどこにあるのかを理解するのが難しくなる、という話をしているのが面白い。

そこで一歩身を引き、一息ついて考えてみる健全な懐疑心を持つことが大切という教訓が導き出せるわけだが、やはりインターネットがあろうがなかろうが誰でもある種の話に騙される可能性はあり、自分だけが例外と思っちゃいけないということだろう。

ネタ元は Boing Boing

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