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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊

新型コロナウイルス第6波の影響もあり、しばらく映画館から足が遠のいていたが、ワクチンのブースター接種から2週間以上経ち、そろそろよかろうと久方ぶりに足を運んだ。1日1回の上映になっていた金曜夜に観に行き、10人程度での鑑賞だった。前作『犬ヶ島』からおよそ4年ぶりか。

カラーコーディネートなど強力なヴィジュアルコントロールによる画面の構成美、その中で遊びまわるかのごとき左右上下のカメラ移動、オーウェン・ウィルソンビル・マーレイをはじめとする常連俳優によるオールスターキャスト――とこれまで何度も書いてきたことを繰り返すことになる、とにかくウェス・アンダーソンらしいウェス・アンダーソン映画としか言いようがない作品だった。

圧倒的な箱庭的映像世界というか、もはや舞台劇の映画化ならぬ映画サイズの舞台劇と評したくなる域に達している。しかも、本作は舞台がパリである。ウェス・アンダーソンとパリって、いかにもらしい組み合わせではないか(本作では白黒が多用されるが、それも彼が愛するフランス映画の反映だろうか)。

映画として全編を覆う悲しみがあった『グランド・ブダペスト・ホテル』には劣るが、観たいものをしっかりみせてくれたという意味で満足だった。

実は、その週の仕事の疲れの蓄積もあり、本作を観ながら何度かうつらうつらしてしまった。と書くと、本作が退屈でつまらなかったと思われそうだが、それは違う。

およそ2時間近く尿意に耐えながら震えていた『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は極端な例だが、上記の事情があってなかなか落ち着いて映画館で映画を観れる環境になかった、というか今もない。それでも、本作はある種の安らぎというか身を委ねられる安心感があった。

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