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ギャル電、山崎雅夫、秋田純一、鈴木涼太、高須正和『感電上等! ガジェット分解のススメ HYPER』を恵贈いただいた

高須正和さんより『感電上等! ガジェット分解のススメ HYPER』を恵贈いただいた。

表紙に著者5名のイラストが躍っているが、本の中でもキャラ化している著者たちが暴れまくっており(と表現したくなる)、楽しく読める。以下、引用部にはその部分が誰の文章かをカッコ書きする(敬称略)。

本書はガジェットの「分解」についての本であり、メイカームーブメントの範疇に分類されるだろう。「分解」と聞いてワタシが連想するのは「修理する権利」だが、本書が扱う「分解」は「修理」に限定されるものではまったくない。

分解のゴールは修理だけじゃなくて、単純にケースを開けて中身を見て「なんか思ったよりも部品が全然入ってないなー」とか、逆に「なんでこんな部品入ってるの?」って、正解じゃなかったとしても、仕組みを自分で考えてみるのは超楽しい。(ギャル電)

大事なのは、「正気に戻る前に作り終える」こと。「これって何の役に立つのかな」とか「将来に対する漠然とした不安」とか考え出す前に「これとこれくっつけたら最高楽しそう!いえーい!!」って気持ちのまま作り上げるのがポイントだよ。(ギャル電)

「将来に対する漠然とした不安」という表現がイイな。芥川龍之介みたいで(あちらは「将来に対する唯ぼんやりした不安」でした)。

とにかく分解は楽しいから始めようよ、その結果をシェアしようよという姿勢に本書は貫かれており、本の構成的にも分解を始める敷居を下げる配慮がされている。「100円ショップのコスメコーナーは宝の山(秋田純一)」といったお役立ちな情報に事欠かないし、それには本書に盛り込まれている危険なポイントを察知する話、大げさではない失敗談も含まれる。

そうして「「仕組みがわかる快感」「自分の力で答えを見つける快感」こそが、分解のバイブス(高須正和)」とか「分解は人生を楽しむための自然な方法(アンドリュー・"バニー"・ファン)」といった名言の境地までたどり着いているわけだが、それは読者も到達可能なのだ。

本書は何より実用的な本だが、それだけではなくて、「世界の電気街探検」みたいな話までぶち込んでいるところは、巻末の付録「中国語技術用語集」なども含め、高須さんの面目躍如というべきか。

前記の通り、本書では5人の著者が一種の戦隊もののようにキャラ化されているが、その中でもっとも常識人の真人間のよう描かれている秋田純一金沢大学教授が、チップの中まで油で揚げてバーナーで炙って攻めまくる話を別にしても、時にもっとも発言がクレイジーだったりするのも面白いところである。

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