昨年5月に「バーチャルリアリティの父」ジャロン・ラニアーが「今すぐソーシャルメディアのアカウントを削除しよう」と呼びかける新刊を出していることを取り上げたのだが、その邦訳が今週刊行されるのを知った。
- 作者: ジャロン・ラニアー,大沢章子
- 出版社/メーカー: 亜紀書房
- 発売日: 2019/04/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ほぼ原題の直訳である邦題を見れば本書の主張は一目瞭然だが、直球のソーシャルメディア批判本である。
しかしなぁ、『人間はガジェットではない』(asin:4153200166)に続く彼の本の邦訳が、ワタシの WirelessWire 連載の記念すべき第1回で取り上げた『Who Owns the Future?』(asin:0241957214)でもなければ、「バーチャルリアリティの父」としての本領を発揮した『Dawn of the New Everything: Encounters with Reality and Virtual Reality』(asin:1250097401)でもなく、アンチソーシャルメディア本という事実には、なんだかなぁという気持ちになるところもある。
そういえば、ジャロン・ラニアーは、ピーター・ルービン『フューチャー・プレゼンス 仮想現実の未来がとり戻す「つながり」と「親密さ」』についてのブックレビューの中でも名前が出ていた。
VRの父(本書では「ゴッドファーザー」)と言われるジャロン・ラニアーは、著書『Dawn of the New Everything』で、VRは「AIと正反対のもの」だと定義している。『WIRED』US版でのルービンによるインタヴューに答えて、ラニアーはこう言っている。「AIは偽り(フェイク)なものです。人々から大量のデータをとって、のちにさまざまに改変された形態で再生します。一方、VRには『人々』が存在します」
VRはリアルだ。それはAI以上にぼくらの世界を激変させる:ピーター・ルービン『フューチャー・プレゼンス』(ブックレヴュー)|WIRED.jp
案の定というべきか、ラニアーは最近の AI をめぐる狂騒にも批判的なんですね。今からでも『Dawn of the New Everything』の邦訳出ないものだろうか。
フューチャー・プレゼンス 仮想現実の未来がとり戻す「つながり」と「親密さ」 (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)
- 作者: ピータールービン,高崎拓哉
- 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
- 発売日: 2019/04/10
- メディア: 単行本
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