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ザ・キラー

来月10日になれば Netflix で配信されるが、過去の『ROMA/ローマ』『アイリッシュマン』の経験から、Netflix が力を入れる作品は、観れるなら映画館で観るべきという判断で観に行った。デヴィッド・フィンチャー待望の新作だしな!

上映館が限られるため、かなり久しぶりに中洲大洋映画劇場に出向いた。どれくらい久しぶりか、調べてみたら『アタック・ザ・ブロック』以来なので、11年以上ぶりになる!

一言で言えば、最高のノワールだった。ノワールなので当然ながら画面が暗い場面が多く、これは観れるなら映画館で観るべき映画でしょう。

とにかくシャープな作りになっており、はっきりいってストーリーについて書きだすと全部筋を書いてしまうくらいシンプルな話である。Guardian のピーター・ブラッドショーがこの映画を "horribly addictive samurai procedural" という言葉で評しているが、催眠的な中毒性があり、説明しにくいのだがこれは日本人好みかもと思った。そして、主人公が仕事をやる際に好んで聴く設定になっている、まさかのスミスの楽曲が本作に奇妙な膨らみをもたらしている。

役者では、フィンチャーの映画では『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』以来となるティルダ・スウィントンが良かった。冷静に考えれば、結構な年齢になる彼女があんな仕事を請け負うのはおかしいのだけど、レストランで主人公と対する彼女の貫禄が見事だった。

事前情報で本作が2時間足らずなのを嬉しく思っていたが、いやいや、全編緊張感がとんでもなく、はっきりいって、これ以上長かったら神経がおかしくなる。最後までキリキリと締め上げられ、あの曲とともにエンドロールが始まり、緊張感から解放された瞬間、「うううぉぉ」と声がもれてしもうた。

なお、中洲大洋映画劇場は福岡の歓楽街中洲に残る最後の映画館だが、来春の取り壊しが決まっており、ワタシが来るのもこれが最後かもしれない。

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