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アタック・ザ・ブロック

ワタシの住む田舎では公開されないのかと一度は諦めかけたのだが、今月になってようやく観れた。

本作の主人公は、ギャング未満なフディーズの10代のガキどもで、昨年ロンドンで起きた暴動で暴れてた層と重なる、はっきりいってしまえばワタシなどまったく関わりたくないし、はっきり嫌いな人種である。ある登場人物が彼らのことを fuckin' monsters と罵るが、そういう共感を得られにくい連中がエイリアンと戦う映画なのに、これが実に面白い! これぞ映画の力である。

ワタシはかつて『第9地区』について、最新の映像技術の粋を極めた超大作『アバター』より面白かったと書いたが、そうした意味で本作は『ダークナイトライジング』より面白かったね! ……というのはさすがに言い過ぎかもしれませんが(笑)

本作については団地団がコラボイベントをしていたが、それも納得の純度100%の団地映画で、これには驚いた。原題の block という単語は「街区」といったもう少し大きな単位にも使うが、本作の場合はまさに主人公のガキどもが住む団地こそが彼らにとっての「シマ」であり、あえて邦題をつけるなら「団地襲撃」ですな。

これにはもちろん予算の関係もあると思うが、本作はその舞台設定を十二分に活かしている。特にエイリアンを迎え撃ちに行くのにガキどもが一斉に階段を駆け下りながら、各自武器を取りに自分の部屋に戻っていくところのスピード感なんかゾクゾクきた。

それに本作は、フーディーズのガキどもに始まり、彼らにカツアゲされる女性、連中の女友達ほか彼らに関わりのある団地住人が(彼らに憧れる10代にも満たないガキのコンビまで!)、それぞれ必然ある形で物語に絡んでくるところなど脚本がよくできている。

確か監督がこの映画を作ろうと思ったきっかけは、本作の主人公たちのようなガキにカツアゲされた経験があったからで、無闇に彼らを持ち上げることはしてないのだけど、個人的にはエンディングにあともうひと捻り欲しかった。いずれにしろ、ニック・フロストが出ている作品では、『宇宙人ポール』のようなぬるい映画なんかよりこっちがずっと良かったね。

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