この文章の中でさらっと紹介していたレイ・カーツワイルの新刊にして『シンギュラリティは近い』(asin:414081697X)の続編 The Singularity is Nearer の邦訳『シンギュラリティはより近く』が11月に出るのを SZ Newsletter で知った。
11月なので邦訳の発売日までまだ間があるが、原書が出たのが今年の6月末なのを考えると、相当に速い仕事に違いない。
この本については、やはり WIRED の著者インタビュー記事が参考になる。
この記事タイトルには「レイ・カーツワイルが(またしても)正しければ」とあるが、10年以内に脳はリバースエンジニアリング可能になるという2010年の予測など、レイ・カーツワイルが正しくなかった例などいくらでもあるし、彼のシンギュラリティ論については、昔「特異点、精神的麻薬、社会的余剰(前編)」でも引用したダグラス・ホフスタッターのコメントが今でも正しいと思っている。
レイ・カーツワイルは、自分が死ぬ運命にあるのを恐れるあまり、死を避けたくてたまらないのだと思う。彼の死への執着は私にも理解できるし、そのものすごいまでの強烈さには心動かされもするが、それが彼の洞察力をひどく歪めていると思うんだ。私の見るところ、カーツワイルの絶望的な望みは、彼の科学的客観性を深刻に曇らせている。
つまり、ワタシはカーツワイルのシンギュラリティ論をずっと bullshit と思っていたわけだが、ご存じの通り ChatGPT の登場以降は、そんなワタシですらシンギュラリティとやらを考慮に入れるようになった。
もちろんカーツワイルはこの本でイケイケさを加速しており、そうした論ということで彼の新刊は読んでおく価値はあるのだろう。