以前から名作という評判は聞いていたので、廉価版 DVD が出たことを知って即座に購入させてもらった。
名作には違いないが、結構トリッキーなところもある。オスカーを撮れなかったのも、そのあたりがあるのかもしれない。
語り口が上手すぎる。上手すぎて、映画の主題となる「希望」が、いささか上滑りしているように思えたくらい。
……というのが第一印象。
でもね、それはやはり斜めに構えた見方だなともう一度見直して思った。やはりこれは良い映画だよ。
上手すぎると思ったのは、主役の二人の配役の妙もあるのかもしれない。ティム・ロビンスはアルトマンの『ザ・プレイヤー』以来ずっと好きな俳優だが、ベビーフェイスでありながら(という歳でもないが。愛嬌があるということ)、信念を内に抱えもち続ける人物となれば彼が適役である。そしてモーガン・フリーマン。ワタシはスティーブン・キングの原作は読んでいないのだが、アイルランド系でレッドという名前が黒人なわけはないのだから設定を変えているのだろうが、普通に語ってこれだけ台詞に格調を持たせられる役者は他にいないのだから、彼も適役である。
他にも爺さん役のジェームズ・ホイットモアとかいいよね。若い囚人役はどこかで見た顔だと思ったら、「アリー・myラブ」の人やったのね。
この映画で扱われる「希望」は、別にそれ自体特別なものではない。しかし、実は刑務所という舞台でなくても、自由への希望、そしてそれを放棄してしまうことの普遍性、ワタシ自身にとっての切実さ、つまり自分との地続きなところを実感してからは素直に映画に没入できた。Shiro Kawai さんによる、キングの原作について書かれた文章を読み、その思いを強くする。
これを読むと原作の本質をちゃんと映画化しているのだろうなと思う。ラストシーンで下手に台詞を言わせたりしない節度、そして何より感じる清々しさは格別。その清々しさを Kawai さんの文章を読み、映像を思い出しながら反芻させてもらっている。