玉石混交の石のほうに目を向けた場合の「FPN クオリティ」の一例と言ってしまえばそれまでなのだろうが、ちょっと気になったので取り上げておく。この文章のお題は、先日 Sun の CEO に就任した Jonathan Schwartz のブログ(日本語版)である。
これを見て笑ってしまったのは、当方が Timothy Appnel の「ウェブサービス、RSS、そして Sun のブロッガー」を訳しているからである。この Jonathan Schwartz がブログを始める一年以上前に書かれた文章は、マイクロソフトや IBM の社員の身分を明かしたブロガーは何人もいるけど、Sun にそんな人いたっけ? Sun は遅れているんじゃね? と揶揄するものである。「アメリカの企業ブログはSunのジョナサンから始まった」なんて初めて聞いたね。
この人が言う「企業ブログ」というのが企業サイトで運営されるブログのことを言うなら、blogs.sun.com よりもマイクロソフトによる Channel 9 立ち上げのほうが早い。大企業の一般社員でなく重役クラスのブログの話に限っても、「ウェブサービス、RSS、そして Sun のブロッガー」にあるように Macromedia の CTO や CSA のほうが圧倒的に先んじていた。
まあ、これはよい。自分にとって一番インパクトがあったのがそれなんだと強弁できるし。しかし、この文章にはもう一箇所、大きく首を傾げるところがある。
CEOがブログを書いている会社は、わずか500社しかなくて、先んずればそれを制すの文字通り、それはSunのことを知ってもらうよい機会だと、彼は理解しているのだ。
「CEOがブログを書いている会社は、わずか500社」なんてどこから出た数字だろうか。いまどき IT ベンチャーの CEO の相当割合がブログをやってることを鑑みれば、500を越えると思うのだが。
どうやら500という数字は、前段に引用している Jonathan Schwartz の以下の記述に由来するようだ(違ったら謝るが、ここにしか500という数字は出てこない)。
We’ll now be the only Fortune 500 company with a CEO that blogs - the first of many firsts to come.
これは「CEOがブログを書いている会社は、わずか500社」でなく、「Fortune 500 に入る大企業の CEO でブログをやっているのはオイラ一人」という意味だろう。
Fortune 500 の意味を取れなくてもビジネスブログのセミナー講師はできるらしい。この分野に限れば、セミナービジネスがインチキと言われても仕方ないのかもしれない。