毎月聴いているデヴィッド・バーン・ラジオ、最新回はコンゴ音楽特集だが、それよりデヴィッド・バーンの前口上の冒頭で、友人のジョー・ボイドが書いた900ページ超の音楽専門書をほぼ読み終えたという記述から始まるのに驚いた。
ジョー・ボイドといえば、かのニック・ドレイクやフェアポート・コンヴェンションなどの仕事で知られるプロデューサーだが、そうした仕事は半世紀以上前の話であり、もちろんその後もプロデューサーを続けていたのは知っているが、恥ずかしながら既に鬼籍に入っているものと思い込んでいた。
調べてみると今年で82歳で、その御年で大著 And the Roots of Rhythm Remain を発表していた。すごいね。
この書名は、ポール・サイモンの名作『Graceland』に収録された "Under African Skies" の歌詞から採られたものだが、この本は世界中の音楽を網羅しており、特にアフリカの音楽について多くの紙幅が割かれているとのこと。恥ずかしながら、ジョー・ボイドがいわゆるワールドミュージック関係でも重要人物なのは知らなかった。
デヴィッド・バーンによると、この本はもちろん音楽の進化についても書かれているが、重要なのは、進化して繁栄した音楽と衰退した音楽を分ける政治的、経済的、世界的な力学について書かれていること。
そのバーン自身はもちろん、ブライアン・イーノ、ロバート・プラント、ライ・クーダー、T・ボーン・バーネットといった錚々たる面々が本書に推薦の言葉を寄せている。
邦訳を期待したいところだが、900ページ超の分量となるとさすがに難しいかしら。