岸田今日子の訃報に接したときも少し似たことを感じたが、ジェームス・ブラウンですら死ぬんだな。そりゃそうだけど、やはりショックに違いない。
彼のショーに行ったのは、1993年の大阪城ホール一度だけである。かのマントショーに狂ったように盛り上がる当方を見た友人が、「よう分からんわ」と呆れていたっけ。当時だってこれが最後の来日かもしれないということで行ったのだが、それから何回も来日したため、最近ではまだ彼を観れるチャンスはあると思うようになっていたのは失敗だった。
彼の長いキャリアから一枚選ぶなんてできないが、ぱっと頭に浮かんだのは、ライブ盤『Love Power Peace』である。
Love Power Peace Live At The Olympia Paris 1971(ジャケットは2種類あります)
- アーティスト: James Brown
- 出版社/メーカー: Polydor / Umgd
- 発売日: 1992/06/23
- メディア: CD
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タイトルからしてもうどうにでもしてくれな感じだが、ステージ上で服を脱いだ女性客が踊りだしたが、JB's のメンバー全員演奏に集中していたため誰も取り乱さなかったという逸話のある70年代初頭の演奏が詰まっている(ベースがブーツィー・コリンズなのもお得)。
- 作者: ジェームズブラウン,ブルースタッカー,James Brown,Bruce Tucker,山形浩生,クイッグリー裕子,渡辺佐智江
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/09
- メディア: 文庫
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これを機に彼の自伝を読む人も多いだろうが、激動を絵に描いたような人なので逸話満載の面白い本であるのはワタシが請け合う。が、政治との係わりについての話の途中に「俺は一度たりとも投票したことはないぜ」、税金問題の苦労話の途中に「俺は学校で税金を学べなかったんだから税金なんか払う必要はないぜ」みたいな記述があって腰砕けになりそうになるファンキーな本ではあったな(参考:gotanda6 さんの「JB伝説」)。
それはともかくタミー・テレルとの関係とか、"Say It Loud - I'm Black and I'm Proud"の子供コーラスは白人とアジア系の子供たちによるものとかこの本で知った話は多かった。個人的に興味深かったのは、JB がブルースは好きでないと書いていたことで、このあたりを基点に読書記録を書こうと思いながら今まで書けていない。
すごいのは、激動がなんとか一息ついて明るく終わるこの本の後に、服役することになるドラッグ問題、家庭内暴力問題が起こることで、後者に関しては数年前にも逮捕されたりした。それはともかく、この人は死ぬまで安息など似合わないエネルギーの塊のような人であった。
ソウル・ブラザー・ナンバーワンよ、永遠なれ。