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【追悼】デニス・ホッパーとマイルス・デイヴィス秘話【だから何?】

病気のことは知っていたので驚きはないが、やはり悲しいものがある。

彼の映画界における貢献は何か。こないだ取り上げた彼自身の証言を再度引用する。

アメリカン・フィルム・インスティテュートによると、『地獄の黙示録』は"偉大な映画トップ100"に入る作品だそうだよ。『ジャイアンツ』と『理由なき反抗』、それに『イージーライダー』も入ってるんだ。だから、おれは偉大な映画100本中4本に出演したってわけだ。ちなみに、1位は『市民ケーン』だそうだ。それに関しちゃ、なんの文句もないね。

一般には『イージーライダー』の監督、脚本、主演となるのだろうが、正直ワタシはあの映画をそれほど良い映画と思ってなくて、松谷創一郎さんも書くように当時は斬新だったのだろうが、何より映画として雑だし唐突である。しかし、あの鮮烈なラストは今も印象的で、あの時代の空気を掴んでいたのは間違いないだろう。

イージーライダー』当時生まれてもなかったワタシにとって、彼は『地獄の黙示録』のイカれたジャーナリストであり、『ブルーベルベット』のやはりイカれたギャングだった。これも前にも書いたが、ワタシとしては『トゥルー・ロマンス』に続くクリストファー・ウォーケンとの二大狂気俳優の対決をもう一度観たかったな。

ジャイアンツ』や『暴力脱獄』など、彼が出演していて観ていない名作はまだまだあるな……

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さて、上に引用したCUT 1999年8月号(No.90)を調べていて、これまで知らなかった面白い話を知った。

おれはマイルス・デイヴィスと友達だったんだ。あるときマイルスがおれに向かって、『おまえのために曲を書いたよ』って言ってきたから、『で、それがどうしたんだよ(ソー・ホワット)?』って答えたんだ。当時のおれの口癖でね、マイルスがなにを言っても、『で、それがどうしたんだよ?』っていうのがお決まりのパターンだったんだよ。っていうより、なんて答えたらいいのかわからんことばっかりだったからな。とにかく、ある晩マイルスが、『おまえのために曲を書いたよ。"ソー・ホワット"だ』って言ってきた。『カインド・オブ・ブルー』っていうアルバムに収録されてるんだが、ほんとにすばらしい曲だったよ。

恥ずかしながらマイルス・デイヴィスとの交友は知らなかった。『Kind of Blue』はワタシもこよなく愛するアルバムだけど、"So What" はマイルス・デイヴィス自身の口癖としても有名で、そこからとられたと思っていたが、ホッパーにとっては「俺のために奴が書いた曲」ということらしい。少なくともマイルスに「で、それがどうしたんだよ?」と言える人間は限られるわな(笑)

とりあえず『Kind of Blue』を聴いて偉大なるイカれ親父を偲ぶことにする。

Kind of Blue

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