Ebook Store の商品が期間限定ですべて半額という被災者支援キャンペーンが26日0時をもって終了した。ワタシ自身はキャンペーン期間を勘違いしていたためこのビッグウェーブに乗り損ねるというマヌケぶりだが、ともかく大変話題となり被災者支援キャンペーンとして成功したのは間違いない。
しかし、こういうときも容赦しないのがただただし氏で、オライリー・ジャパンが販売する ebook の問題を指摘している。
今回のこのキャンペーンで初めてオライリーのebookを買った人も多いと思うけれど、たぶんコピペも印刷もできないという制約を知らなかった人も多いだろう。ちなみに本家オライリーではPDFだけでなくEPUBなど複数のフォーマットで、しかもDRMフリーでの提供なので、こういうひどい制約をかけているのはオライリー・ジャパンだけの悪習だ。せっかくなので今回購入した人は、こういう客を信用しない出版社にはちゃんと声をあげていこう。技術書に自己投資するような真面目な技術者向けの電子書籍にDRMは不要だ(と信じる)。
オライリーのebookが今日いっぱい「半額」(ただし入手まで数十時間待ち) - ただのにっき(2011-03-25)
この話題については昨年「電子書籍にDRMは本当に有効か?」という文章を書いていて、それを読めばワタシの立場は分かってもらえると思う。ソーシャルDRMまでで手を打ってほしいのだが、現実問題としてそうはいかないというオライリー・ジャパンの立場も理解できる。おそらくは中の人たちも忸怩たる思いがあるだろう。
皮肉なのは、ちょうど Forbes にティム・オライリーが電子書籍と DRM について語ったインタビューが掲載されていること。
タイトルの "Steal This E-Book" はアビー・ホフマンの『Steal This Book』のもじりだが、いくらなんでも煽り過ぎで、Hacker News のように「オライリーメディアがDRMを使わない理由」というのが妥当だと思う。
インタビュー冒頭、おたくは DRM を採用してないけど海賊行為が心配でない? と聞かれ、「いいや。だから何だっての?」と答え、DRM ダメ論を強調している。他にも紙の本が死ぬわけじゃないとかいろいろ語っているので、ティム・オライリーのビジョンが気になる人は原文を読むといいよ。
[2011年3月28日追記]:たださんの「オライリーのebookから余白を除去して、Kindleで快適に読む方法」並びにその補遺も参考になる。