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天才ネイサン・ミアボルドの驚異の料理科学本

ネイサン・ミアボルドというと、マイクロソフト退職後特許に投資するファンドを設立したのは知っていたが、wrong, rogue and booklog によるとなんと料理本に取り組んでいたらしい。

柏野さんはミアボルドを「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と評していて、それは誉めすぎな気がするが、思えば紛れもない天才でありながらその構想の多くが現実にできなかったところは似ている。

しかし、彼がてがけた料理本は、ギーク向けの料理のハック本なんてレベルをはるかに超えたその現実化への執念がすごい。Theodore Gray『Mad Science 炎と煙と轟音の科学実験54』に近い感触もあるが、あれよりもずっと大掛かりである。

二年前から料理本を作っていると話していたけれど、専門スタッフを15名も揃え、巨大厨房と分析器を導入し、調理器具を真っ二つにしてと、ここまでやるのか!すげえ。コーンの粒がポップコーンに変わる瞬間を高速度HDビデオで撮影した様子もみることができる。厚さを細かくわけた素材を用意してそれを料理した結果を物理学の熱伝導方程式を並列マシンで数値的に解かせたところ、調理にかかる時間は厚さの二乗に比例するということも話している。この知識はシェフの間で経験則として知られていたそう。また、完璧な鴨やポークのローストを作るには液体窒素に浸した後に焼きあげるという新しい調理法も実証している。ハーゲンダッツに負けないテキスチャーの細かいおいしいアイスクリームを簡単に家庭で作るには、やはり液体窒素をいれるとか。なんともまあ。

wrong, rogue and booklog - Cooking in Silico: Heat Transfer in the Modern...

その成果をまとめた本が今月刊行されるが、分量も値段も何かの間違いじゃないかと目を疑いたくなるレベルでこれまたすごい。

Modernist Cuisine: The Art and Science of Cooking

Modernist Cuisine: The Art and Science of Cooking

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