歴史学者のティモシー・スナイダーのことは、彼の「世界にウクライナの勝利が必要な15の理由」を取り上げている。今ではロシアによるウクライナ侵略を非難し続けるのを「ウクライナ応援団」と揶揄する人が増えているらしいが、この点についてワタシの考えは変わっていない。
さて、そのティモシー・スナイダーの新刊 On Freedom が出てたんですな。
「自由について」という実にシンプルな書名だが、これは彼が2017年に出した『暴政(On Tyranny)』(asin:4766424387)と対になる本のようだ。
ティモシー・スナイダーが「暗黒時代の第一人者(the leading interpreter of our dark times)」と紹介されているのにのけぞってしまったが、彼の本は必然的にシビアな歴史を扱ったものが多い。その彼が新刊で何を訴えようというのか。
自由はアメリカの偉大な約束だが、スナイダーが主張するように、我々はその意味を見失っている――そして、それが我々を危機に導いているのだ。我々のあまりにも多くが、自由とは国家権力の不在だと考えている。つまり、好きなように行動して発言できれば、また政府の行き過ぎた干渉から自分たちを守れれば自由だと考えている。しかし、真の自由とは、自由からの自由というより、自由に向かう自由――繁栄する自由であり、協力して選択する未来のためにリスクをとる自由なのである。自由とは、他のすべての価値を可能にする価値なのだ。
力強いですな。
推薦の言葉をウクライナのゼレンスキー大統領が書いているのに驚くが、他にもトマ・ピケティ、艾未未(アイ・ウェイウェイ)、ショシャナ・ズボフ、セルヒー・プロヒーといった著名人が推薦の言葉を寄せている。