取り上げるのだが遅れたが、昨年末電子フロンティア財団(EFF)が(主に)2013年刊行された本から17冊選定していた。EFF の Reading List を紹介するのは2011年もやったが、2012年分はリストが公開されなかったか、単にワタシが忘れていたのか。
邦訳が出ている本はないと思うが、ワタシが見落としているだけなら教えてください。
Nate Anderson『The Internet Police: How Crime Went Online, and the Cops Followed』
この本のことは 著者が寄稿した WIRED の記事で知ったが、ネット上でどのように犯罪が行われ、それに警察がどう対応しているかという本。著者は Ars Technica の副編集長。
The Internet Police: How Crime Went Online, and the Cops Followed
- 作者:Anderson, Nate
- 発売日: 2014/08/18
- メディア: ペーパーバック
Marvin Ammori『On Internet Freedom』
この著者が危惧した通り、ネットワーク中立性に赤信号である。
On Internet Freedom (English Edition)
- 作者:Ammori, Marvin
- 発売日: 2013/01/15
- メディア: Kindle版
Benedetta Brevini、Arne Hintz、Patrick McCurdy編『Beyond Wikileaks: Implications for the Future of Communications, Journalism and Society』
Wikileaks 本も一通り出尽くし、ハリウッド映画化は大コケしたが、今改めて Wikileaks が切り開いたものの先を描くエッセイ集ということのようだ。
Beyond WikiLeaks: Implications for the Future of Communications, Journalism and Society
- 発売日: 2013/04/16
- メディア: ペーパーバック
Jerry Brito編『Copyright Unbalanced: From Incentive to Excess』
Gabriella Coleman『Coding Freedom: The Ethics and Aesthetics of Hacking』
著者の Gabriella Coleman は Anoynmous の研究でも知られるが、本書は Debian に取材したハッカーとフリーソフトウェアコミュニティについての本である。本のサポートサイトにて、PDF 版と ePub 版が CC BY-NC-ND 2.5 ライセンスの元で公開されている。
Coding Freedom: The Ethics and Aesthetics of Hacking
- 作者:Coleman, E. Gabriella
- 発売日: 2012/11/12
- メディア: ペーパーバック
Coding Freedom: The Ethics and Aesthetics of Hacking (English Edition)
- 作者:Coleman, E. Gabriella
- 発売日: 2012/11/25
- メディア: Kindle版
Susan P. Crawford『Captive Audience: The Telecom Industry and Monopoly Power in the New Gilded Age』
著者の Susan Crawford は、「ネットワーク中立性の死とともに我々は現在のインターネットを失うのか?」でも紹介したように、オバマ大統領誕生時には FCC の政権移行作業チームの舵取りも行ったミシガン大学法学部の教授だが、本を出すのは本書が初めてだった。
Captive Audience: The Telecom Industry and Monopoly Power in the New Gilded Age
- 作者:Crawford, Susan
- 発売日: 2014/02/25
- メディア: ペーパーバック
Captive Audience (English Edition)
- 作者:Crawford, Susan P.
- 発売日: 2012/12/03
- メディア: Kindle版
Ronald J. Deibert『Black Code: Surveillance, Privacy, and the Dark Side of the Internet』
著者の Ronald Deibert は、ここでも何度か取り上げてる(その1、その2)OpenNet Initiativeの『Acess ○○○○○』シリーズにも寄稿している人だ。詳しくは本のサポートサイトをどうぞ。
Black Code: Surveillance, Privacy, and the Dark Side of the Internet
- 作者:Deibert, Ronald J.
- 発売日: 2013/11/19
- メディア: ペーパーバック
Cory Doctorow『Homeland』
著者はワタシも Make などでよく文章を翻訳する SF 作家で Boing Boing の寄稿者としても有名だが、本書は『リトル・ブラザー』(asin:4152091991)の続編だったかな。著者の単著の通例に従い、本書も各種フォーマットでデジタルファイルがダウンロード可能。
- 作者:Doctorow, Cory
- 発売日: 2014/05/27
- メディア: ペーパーバック
- 作者:Doctorow, Cory
- 発売日: 2013/02/05
- メディア: Kindle版
Andy Greenberg『This Machine Kills Secrets: Julian Assange, the Cypherpunks, and Their Fight to Empower Whistleblowers』
著者は Forbes のテクノロジー担当で、内部告発の歴史から Wikileaks を読み解く本である。本のサポートサイトを見ると、ブルース・シュナイアーをはじめとしてワタシのブログでもおなじみの人が推薦している。
なお。本書の書名はウディ・ガスリーがギターに書いた文句のもじり。
- 作者:Greenberg, Andy
- 発売日: 2013/09/25
- メディア: ペーパーバック
Thomas Healy『The Great Dissent: How Oliver Wendell Holmes Changed His Mind--and Changed the History of Free Speech in America』
Monica Horten『A Copyright Masquerade: How Corporate Lobbying Threatens Online Freedoms』
著者は Iptegrity.com をやってる人で、本書は企業がいかにロビー活動で著作権を強化してネットの自由を脅かしてるかについての本。
A Copyright Masquerade: How Corporate Lobbying Threatens Online Freedoms
- 作者:Horten, Monica
- 発売日: 2013/09/03
- メディア: ペーパーバック
Phil Lapsley『Exploding the Phone: The Untold Story of the Teenagers and Outlaws who Hacked Ma Bell』
本書のことは小林啓倫さんの書評で知ったのだが、著者は NNTP の規格を定めた RFC977 の共作者という古株のハッカーで、本書は電話ハッキング(フリーキング)の歴史についての本である。詳しくは本のサポートサイトを参照あれ。
- 作者:Lapsley, Phil
- 発売日: 2014/02/11
- メディア: ペーパーバック
Evgeny Morozov『To Save Everything, Click Here: The Folly of Technological Solutionism』
情報共有の未来ブログでも何度か名前を引き合いに出しているが、ちょうど小林恭子さんがこの本の要約をやっているので(その1、その2、その3、その4、その5)、本書の内容を知りたい方はそちらを読まれるのがよかろう。
本のサポートサイトをみるとブライアン・イーノやブルース・スターリングも推薦しているが、著者の否定的なな論説には批判も多く、電子フロンティア財団関係でこのリストにも選ばれているコリィ・ドクトロウも辛辣に書いていたはずで、リスト入りはちょっと意外だった。
To Save Everything, Click Here: The Folly of Technological Solutionism
- 作者:Morozov, Evgeny
- 発売日: 2014/03/04
- メディア: ペーパーバック
Seth Rosenfeld『Subversives: The FBI's War on Student Radicals, and Reagan's Rise to Powe』
著者の Seth Rosenfeld はフリーランスのジャーナリストで、本書は FBI が60年代の学生運動と如何に戦い、当時カリフォルニアの知事であり、後にロナルド・レーガンの政治的台頭を後押ししたかについての本である。
Subversives: The FBI's War on Student Radicals, and Reagan's Rise to Power
- 作者:Rosenfeld, Seth
- 発売日: 2013/07/23
- メディア: ペーパーバック
Bruce Schneier『Carry On: Sound Advice from Schneier on Security』
Carry On: Sound Advice from Schneier on Security
- 作者:Schneier, Bruce
- 発売日: 2013/12/16
- メディア: ハードカバー
Carry On: Sound Advice from Schneier on Security (English Edition)
- 作者:Schneier, Bruce
- 発売日: 2013/11/20
- メディア: Kindle版
Rick Smolan『The Human Face of Big Data』
著者のことは「文脈の時代」がもたらす強力なサービスの光と影でも少し紹介したが、本書については本のサポートサイトができている。
- 作者:Smolan, Rick,Erwitt, Jennifer
- 発売日: 2012/11/20
- メディア: ハードカバー
Ethan Zuckerman『Rewire: Digital Cosmopolitans in the Age of Connection』
Rewire: Digital Cosmopolitans in the Age of Connection
- 作者:Zuckerman, Ethan
- 発売日: 2013/06/17
- メディア: ハードカバー