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ようやく出るデヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ』邦訳、そして「ゴーストワーク」はテック先端分野における「ケア階級」なのか?

2018年5月に原書を取り上げて以来、ここでも何度か話題にしてきたが、デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ』邦訳が来月出る。ワオ!

「ブルシット・ジョブ」とは邦訳の副題にもあるように、無駄で無意味なクソどうでもいい仕事の総称であるが、グレーバーはそれと対極にあたる、医療、教育、介護、保育、あとゴミ収集など地域社会においてとても大事な仕事なのに、その多くは必ずしも経済的に恵まれてない層を「ケア階級」という言葉で表現している。

これについてはブレイディみかこさんが朝日新聞に寄稿した文章が参考になるが、この「ケア階級」が新型コロナウイルスが猛威をふるう世界で、危険の矢面に立つ大変な役割を担ったのは言うまでもない。

www.technologyreview.jp

さて、最近読んだ MIT Technology Review のこの記事における「ゴーストワーク」って、テック先端分野における「ケア階級」なのではないかと連想してしまった。

もちろん両者に相違点もあるが、どちらもとても大事な役割なのに報酬面で日の目が当たらないところなど近いと思ってしまうのだ。

特に「ゴーストワーク」の場合、いわゆる GAFA に代表される巨大テック企業の人工知能の「魔法」のような機能を実現する裏で、膨大な量の学習データをひたすらラベル付けする安月給の人間のホワイトカラー非正規労働者が、日常的にサービス残業を強いられ、労働条件に対する要求が繰り返し退けられてきたというのはなんとも皮肉ではないか。

この記事で紹介されている『ゴーストワーク』という本は一年以上前に出ていたのね。知らなかった。

書籍の公式サイトを見ると、マーティン・フォードダグラス・ラシュコフVirginia Eubanksティム・オライリーヘンリー・ジェンキンスといったこのブログでもおなじみの錚々たる面々が推薦の言葉を寄せている。

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