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ハーバードビジネススクールのショシャナ・ズボフ名誉教授の『監視資本主義の時代』が刊行された

ここでも何度も取り上げているが、ハーバードビジネススクールのショシャナ・ズボフ(Shoshana Zuboff)名誉教授の新刊『The Age of Surveillance Capitalism: The Fight for a Human Future at the New Frontier of Power』が出たのを、ニコラス・カー先生の書評経由で知った。

なぜか紙版のほうは品切れ状態だが、Kindle 版が7割以上の値引きをやっている。

ロバート・B・ライシュ元米労働長官、ナオミ・クラインといった著名人に加え、ドク・サールズアンドリュー・キーン、Frank Pasquale といったこのブログでもおなじみな面々が推薦の言葉を寄せている。

監視資本主義(Surveillance capitalism)という言葉は、ショシャナ・ズボフが2014年に書いた文章で初めて使ったもので(日本語圏の記事で、最初にこの言葉に言及しているのは、2017年末の AERA「世界はまるで「監視資本主義」 横田や三沢、沖縄には監視設備も」あたりだろう)、つまりはこの言葉の発明者による渾身の本ということになる。

それに応えたのか、ニコラス・カー先生の書評も長文で、「経験の盗賊たち:GoogleFacebook はいかにして資本主義を腐敗させたか」というタイトルから、ショシャナ・ズボフ、そしてニコラス・カーの立ち位置が推察できると思う。

Google によって開拓され、Facebook によって完成され、今や経済全体に広まっている監視資本主義は、人の命を原材料として利用する。我々の日々の体験は、データに蒸留され、我々の行動を予測し型にはめるのに利用される私有の事業資産になってしまった。

インターネット巨大企業へのズボフの猛烈な非難は、プライバシーの侵害や独占的ビジネス慣行へのよくある非難に留まらない。彼女にとって、そうした批判はもっと深刻な危険への我々の判断力を奪う余興、気を散らすものでしかない。その利益に沿って経済や社会を再設計することで、GoogleFacebook は個人の自由を弱体化し、民主主義をむしばむ形で資本主義を悪用しているのだ。

似た問題意識の本として、ジェイミー・バートレット『操られる民主主義: デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』あたりが挙げられるが、本作についても邦訳が出てほしいところ。

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