『〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則』に続くケヴィン・ケリーの新刊は、Kickstarter のクラウドファンディングで資金調達し、しかもテーマがアジアだという。
一瞬、前作が中国で最初に出版され、かなり売れたことでのアジアシフトかと邪推したが、もちろんそんなものではなく、40年かけて35ものアジアの国々を旅行したケリーの豊富な経験をもとにしたもので、しかも、Vanishing Asia、つまり現在のアジアから失われつつあるものがテーマとのことで、単なるアジア礼賛ではない。
なんで彼がクラウドファンディングを利用するんだろうと思ったら、全3巻、1000ページもの分量になるとのことで、確かに三分冊を普通の商業ベースで出すのは難しかろうと納得である。西アジア、中央アジア、東アジアでそれぞれ1冊ずつ、しかも東アジアの表紙が日本の花嫁衣裳の白無垢というのにオリエンタリズムを感じて、神経をとがらせる人がいるかもしれないが、この本の趣旨については本人の説明を読むなり聞くのがよかろう。
クラウドファンディング自体は、予定金額を大幅に超えて支援者を無事獲得しており、全3巻の刊行は実現する見込み。
そういえばケヴィン・ケリーというと、今話題のデジタル資産 NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)に入れ込んでいるクリス・ディクソンが、ケリーのもはや古典的存在である「千人の忠実なファン」を引き合いに出して NFTs and a Thousand True Fans という文章を書いていたっけ(参考:NFTと1,000人の真のファンとは?)。
ネタ元は Boing Boing。