エドワード・スノーデンのニュースレターなのだけど、人民服を着て習近平の本を抱くマーク・ザッカーバーグの画にまず笑ってしまった。それでタイトルが Cultural Revolutions(文化大革命の複数形?)とくれば、これは Facebook あらため「俺ら民主主義の癌で、権威主義体制を強化して、市民社会を破壊するグローバルな監視プロパガンダマシンに移行しやす……利益のためにな!」でおなじみ Meta さんへの壮大な皮肉か! と思ったらそうではなかった(ワタシも Facebook の改名やメタバース周りについては準備しているが、エントリ書けるかねぇ)。
エドワード・スノーデンが取り上げるのは、中国を代表する現代美術家艾未未(アイ・ウェイウェイ)の回顧録 1000 Years of Joys and Sorrows で、ワタシも初めてこの本のことを知った。
彼については『アイ・ウェイウェイは謝らない』というドキュメンタリー映画も作られているが、中国当局と対立し、拘束されたり軟禁状態にも置かれた彼にエドワード・スノーデンがシンパシーを抱くのは理解できる。
この本の前半は、文化大革命の恐怖を前にして不屈の意思を持ち続けた(しかし、思想や表現の統制が生存を脅かすレベルに達したとき、自己批判の同調圧力に屈して内心に反した行動をとる)艾未未の父親について書かれており、また中国の暴力的不寛容がいかにして急速に国策として常態化していったのかについてに価値ある記録だとスノーデンは読んでいる。
その上で、スノーデンは、イデオロギーの浄化が、全体主義体制の下だけではなく、形を変えて西欧の自由民主主義国家にも存在していることを艾未未が指摘していることを強調している。その意図は言うまでもない。艾未未が中国を理解しようとしているように、スノーデンもアメリカを理解しようとしている。それを画にしたら、「人民服を着て習近平の本を抱くマーク・ザッカーバーグ」ということになるのだろうか。
このエントリの副題である "Freedom is not a goal, but a direction." というフレーズは、艾未未の本の最後のページに出てくるようだ。