本当はこの週末にちょっとやりたい作業があったのだが、あいにく風邪をひいてしまい体調が悪化したため、何も作業ができなかった。
さて、『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』だが、ワタシも情報源としてお世話になっている「未翻訳ブックレビュー」に書評「ある敗北の記録」が公開されている。
さて、本書が語るテーマはビッグデータ、IoT、人工知能といった先端的なテクノロジーが多いのだけど、そのトーンは暗い。タイトルにある通り開かれた自由な空間になり得たかもしれなかったウェブが、少数企業による寡占で失われてしまったからだ。
ある敗北の記録 - もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来 by yomoyomo - 未翻訳ブックレビュー
だから本書は、敗北の歴史を記録した本のようにも読める。何が何に負けたか。自由や公正といった社会的価値がある技術は広まるという楽観主義が、クローズドなウェブの使いやすさや、広告料収入の最大化といった力学に負けたのだと思う。
ある敗北の記録 - もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来 by yomoyomo - 未翻訳ブックレビュー
ここでの「少数企業による寡占」とは、スコット・ギャロウェイが『The Four』に書く Amazon、Apple、Facebook、そして Google の「四天王」に代表されるが、それに対して脱中央集権的なウェブという方向性をワタシは書いている(し、今週末にやりたいと思っていた仕事も、実はそれに関係したものだったりする)。
が、この書評に続けて書かれるように、脱中央集権的とか分散型とかそれはユーザには関係ない話で、技術とか思想が入口になっているサービスは流行らないというのも認めざるをえないわけである。そのサービスが強力な価値を利用者に新たにもたらすのでない限り。
あと、ボーナストラックのエッセイについて以下のように書いてくださっている。
最後に、ボーナストラックとしてついている長編エッセイについて。本編がウイスキーだとしたらチェイサーみたいなものだろうと勝手に思って読んでいたら(このエッセイはバーで飲んでいる場面がやたらと多い)、チェイサーどころか氷をガリガリ丸かじりさせられるような、傷みをもたらす文章だった。
ある敗北の記録 - もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来 by yomoyomo - 未翻訳ブックレビュー
『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』を出すにあたりワタシが心配していたのは、このボーナストラックのエッセイについて、ある種のネタばらしみたいなことをされることだった。
しかし、この書評を含め、これまで取り上げてくださった方は皆、節度をもって書いてくださっており、本当にありがたいことだと思っている。
折角なので一つ著者から舞台裏を書いておくと、以前から「テリー・レノックスの側から書いた『長いお別れ』」というアイデアがあり、今回ボーナストラックを書くにあたり、これをそれで書けるのではないかと思い当たったというのがある。この文章の語り手が「バーで飲んでいる場面がやたらと多い」のはそういうことだったりする。もちろんボーナストラックのエッセイの意図はそれだけではないのだが。
- 作者: レイモンド・チャンドラー,清水俊二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1976/04/01
- メディア: 文庫
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