この記事で紹介されている Vox の動画が面白い。
今では我々皆、映画鑑賞には字幕が必要だよねという内容なのだが、その理由としてなんとも皮肉な状況が浮かび上がる。
映画制作における録音や編集の技術はかつてより大きく向上しているのに、いや、むしろその結果、映画やテレビドラマの台詞は明瞭さが低下しているという現実である。
そう、この話題については、ワタシも一年以上前にエントリを書いている。
かつてのように俳優はセットに隠されたマイクに向かって台詞を明瞭に叫ばなくても、音を拾ってもらえる。しかし、それにより「より自然な演技」も可能になり、その結果俳優がなんと言っているか分かりにくくもなっちゃった。
Vox の動画でもやり玉にあがっているのが、俳優ではトム・ハーディ、監督ではクリストファー・ノーランというのがワタシのエントリと共通するが、考えることは皆同じなんだろうね。
Dolby Atmos など新しい立体音響技術が開発される一方で、動画コンテンツの視聴は映画館にとどまらず、テレビ、パソコン、タブレット、スマートフォンと多様化しているのも問題である。
この動画で最後に挙げられるアドバイスは以下の3点。
- 良いスピーカーを買う(さもなくば、音の良い映画館に行く)
- 鎮静剤を飲む
- 字幕を常にオンにする
というのがオチになってるわけだが、この映画鑑賞に字幕が求められることの副次的な効果として、アメリカ人が外国語映画を字幕で観ることへの抵抗感が減ったことがあるのではないか。
『パラサイト 半地下の家族』で非英語作品で初めてアカデミー賞作品賞を受賞したポン・ジュノが言うところの「字幕という1インチの壁」をアメリカ人が乗り越えるのに結果的に貢献していると思うのだが、どうだろう。