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アンリ・ベルクソンは熱狂的な女性ファンを集めた最初の哲学者だった?

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20世紀のはじめ、フランスの哲学者アンリ・ベルクソンは世界的な有名人だった。彼の名声は著書『創造的進化』で一気に高まり、世界的なベストセラーになったのだが、彼がパリのコレージュ・ド・フランスで講義を行うたびに大変な騒動になったらしい。講義室には収容人数のおよそ倍の700人もの人が押し寄せたとのこと。

彼の名声は世界的で、ロンドンで行った講義も大入り満員の大歓声で迎えられ、ニューヨークを訪れた際にはブロードウェイで初の交通渋滞を引き起こした……ってマジかよ!

ベルクソンがそんな「セレブリティ」だったとは知らなかったな。さらに驚くのは、彼の聴衆のほとんどが女性だったこと。ベルクソンの講演会場は大変な熱気で、何人もの若い女性が体調を崩して会場外に連れ出されたそうだが、まるでアイドルのライブの話みたい。フランスの新聞は、ベルクソンの哲学講義の厳粛さとそのファンの女性たちの軽薄さを対比させ、ベルクソンの女性ファンを「カイエット」(小鳥の一種、軽薄なおしゃべり女の意味)とか「スノビネット」(哲学を学ぶより流行りの場に行くのに関心がある無知な社交家の意味)とか呼んで面白おかしく書きたてたそうな。

そうして、ベルクソンの哲学自体だけでなく、「なんでベルクソンはそんなに女性に人気なのか?」「ベルクソンの哲学は女性的なのか?」も当時議論されたようだが、ワタシに哲学に関する知識が欠けているため、このあたり正しく説明できる自信がないのではしょらせてもらう。

このあたりベルクソンに対する反ユダヤ主義的な攻撃もあいまって、「女々しい」「女性的ロマン主義」などとベルクソン自身、そして女性の信奉者ともども攻撃されたとのこと。

彼の名声が高まったのは、女性参政権が議論された時期とも重なる。1913年、ベルクソンは欧州や米国でのフェミニズム運動について見解を問われた。彼は男性と女性にレベルの違いはないと述べたが、同時にすべての女性に一気に選挙権を与えることへの懸念も表明した。

結局、なんでベルクソンは特に女性に人気があったのか? 彼の講義のスタイルなどいろんな要素があったに違いないが、彼の講義が堅苦しいソルボンヌ大学の外で行われたこと、そして後のフランスでサルトルボーヴォワールの哲学が受けたのと同じく、大きな変化が可能だと信じる人たちのシンボルだったということのようだ。

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