少し前に「アマチュア天文家から世界的な太陽観測者となった小山ひさ子は日本版『Hidden Figures』なのか?」という文章を書いたが、そのときと同じく kottke.org 経由で TED-Ed 講演動画の紹介である。
そして、今回も日本が関係しているコンテンツなのに、やはり日本語字幕がついていないというのも共通している(涙)。本文執筆時点で5か国語の字幕がついているが、その中に日本語はない。そういえば、小山ひさ子さんの動画についている字幕は11か国語まで増えているが、未だ日本語はない。
さて、今回紹介する動画は、「羅生門効果(The Rashomon Effect)」についての文章である。「羅生門効果」とは何か?
実はワタシはこれについて2009年に取り上げているのである。この当時はまだなかった Wikipedia 日本語版項目から引用しよう。
羅生門効果(らしょうもんこうか、英: Rashomon effect)とは、ひとつの出来事において、人々がそれぞれに見解を主張すると矛盾してしまう現象のことであり、心理学、犯罪学、社会学などの社会科学で使われることがある。
羅生門効果 - Wikipedia
もちろん黒澤明の映画『羅生門』に由来するわけだが、上の動画は、芥川龍之介の「藪の中」にちゃんと触れているのが好感度が高い。「藪の中」では、見つかった男の死体についての当事者の証言が異なる話だが、『羅生門』ではそれぞれの証言の虚実の描き方、さらには原作には登場しない(よね?)志村喬演じる杣売りによる真相の証言がポイントなわけである。
BS プレミアムは近年、一年に一度は黒澤明の代表作をだいたい放送してくれるおかげで、ワタシ自身は『羅生門』を一昨年だかに初めてちゃんと観たのだけど、酒を飲みながらの鑑賞だったため、映画の終わり方については記憶がかなりあやふやになっている(笑)。
そうそう、はてなダイアリーからはてなブログへの移行時に消えてしまったようだが、上で取り上げた2009年のエントリには、ユーゴスラビアでは(やはり黒澤明の映画が由来で)Rashomon というと「出羽亀」の意味になっているという山形浩生のコメントがあったっけ。
こちらも今年書かれた「羅生門効果」についての文章だが、映画でこの効果を表現する上でのポイントとして以下の3つが挙げられている。
- 見解の不一致(例:クエンティン・タランティーノ『レザボア・ドッグス』)
- 信頼できない語り手(例:『デヴィッド・フィンチャー『ゴーン・ガール』)
- 不明瞭なエンディング
早く TED-Ed 動画に日本語字幕がつけばよいなと思います。