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ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ

『ジョーカー』を賞賛した人間として、一足先に公開された本国での批評家、観客双方のド不評を小耳に挟みつつ、公開初日に観てきた。

しかし、こんだけ不評とはどんなしょぼい続編をみせられるんだ、と通常とは違った意味でワクワク感があった本作だが、そう来るよなという意味で納得の作品だったし、かなり楽しめた。

もっともワタシは『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』を観て「やったじゃないか、ライアン・ジョンソン」と書いた人間なので、自分の感覚を一般的とは思っておりませんが。

『ジョーカー』は世界的に大ヒットし、社会現象の域に達した映画だし、その後のいろんな作品に影響を与えたのは間違いない。卑近な例では、少し前に観た Netflix の『極悪女王』におけるダンプ松本の誕生が完全に『ジョーカー』を下敷きに撮られていたっけ。

でも、続編が『ジョーカー』に喝采を叫んだ人たちをそのまま楽しませるような作品にならない、要はトッド・フィリップスが「壊し」にくることくらい、本作がミュージカルになると伝えられた時点である程度予想されたことじゃないか?

しかし、本作が法廷劇になり、ある意味前作がそこで裁かれる(!)とは予想してなかった。そこで実にかっこ悪い惨めでしょぼい姿を晒し、彼を喝采していた人たちから見事に背を向けられ、しまいには(中略)様を描いた本作に寄せられる不満まで、トッド・フィリップスは織り込み済みだったろう。

問題はそれがここまで本国において支配的な空気になったことなのだが、そうした意味で本作は主人公アーサー・フレックのダメさ、「キモい」(あとで読んだときに分かるように注釈を書いておくと、2024年10月前半の SNS でやたら取りざたされた言葉)ところを実によく描いてしまっている。ガガさん演じるハーレイ・クインと恋仲になってサカりがついて、キャサリン・キーナー演じる弁護士に二度もキスしてしまうとことか。

前作で主人公が精神的にテンパり、冷蔵庫に入ってしまう場面など、どこまで(物語内)現実なのか、彼の妄想なのか議論になったが、本作でも、あれこの人この後どうなったのだろうというところがいくつかあったのだけど、前作ほど議論にはならないかな。

本作もホアキン・フェニックスは見事だし、ガガさんもまったく負けてない。映画女優としての彼女は素晴らしい。

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