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シビル・ウォー アメリカ最後の日

この映画の話を知ったときは、今のアメリカの分断ぶりを考えればいかにもありそうな題材だが、テキサス州カリフォルニア州が組んで合衆国から離脱という設定自体がリアリティが足らない、と観る前からいささか鼻白んだところがあった(池田純一氏によるとそうでもないらしい)。

が、評判が良いとのことで観に行くことにした……のだが、いくらなんでも公開遅れすぎだっての。

本作を観て、上記の設定があまり気にならなかったのに唸った。そう、本作は内戦描写を通じてアメリカの分断を描くポリティカルスリラーなどではなく、報道写真家たちが主人公のロードムービーなんですね。本作の中で最初から最後まで米国の政治状況が俯瞰されることも明快に説明されることもなく、主人公たちがとらえる現場がそのすべてなのである。

映画のストーリー構造、そしてもう指揮系統などなく戦闘が行われている描写に『地獄の黙示録』っぽいところを少し感じた。

例によって観に行くと決めた映画については、事前になるだけ情報を入れないで観るのだけど、本作については音響がすごいと小耳に挟み、せいぜい大きなスクリーンで観ようと行くシネコンを変えたのだけど、それが効を奏した(レイトショーをやってなかった関係で IMAX で観れなかったのは残念)。音響の効果は銃声のリアルさにもっとも貢献しており、観ていてとにかく怖かったな。

アレックス・ガーランドの監督作は、『エクス・マキナ』しか観ていないが、本作は画の力も強くて迫力があったな。そして、怖かった(語彙力)。2時間弱の映画でよかったよ……。

登場人物では、主人公の同僚役のヴァグネル・モウラが良かった。あとクレジットなしで登場するジェシー・プレモンスがやることも言うことも恐ろしくて、『ブレイキング・バッド』のトッドとはまったく違うのに、あのインパクトを思い出した。

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