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今年もCreative CommonsとWikimedia財団に寄付した

ワタシはオープンソース〜フリーカルチャー関係の団体に毎年寄付を行っており、そのようなネット上の活動に密接に関係した寄付についてはブログ上で情報開示を行っている。

……という前口上もコピペで済ませているが、今年も Creative CommonsWikimedia Foundation に寄付をした。

Creative Commons のほうはこないだローレンス・レッシグからメールが来たが、立ち上がって12年になるんやね。今年はオフィスを閉鎖したとのことで、正直大丈夫なんかと思うところもあるのだが、今年は例年よりも低い額を寄付させてもらった。

一方、Wikimedia 財団に関しては、Wikipedia の寄付募集と保有現金がミスマッチなんじゃないかという話があり、こちらもなんだかなーと思うところがあったが、今年も Wikipedia にお世話になったのは間違いないので寄付させてもらった。

そういえば Wikimedia 財団が今年を振り返る動画を作っていて、これはなかなかよかったね(日本語字幕付き)。

ウィキペディアとネット中立性の微妙な関係

ネット中立性問題については、「オバマ大統領のネット中立性ルール保護要請の倒錯性と意義」という文章を少し前に書いたばかりだが、フリーカルチャー文化圏(←重言)に属する Wikipedia は当然ネット中立性支持側だよねと思いきや、実は話はそんな単純ではないらしい。

それは Wikipedia が、Wikipedia Zero(ありゃ、日本語版ページがない)という、発展途上国のユーザに安価に情報を広める手段として「中立的でない」インターネットをみなす活動をやってるからだという。

そして、これは Wikipedia だけの話ではなく、"zero rating" と呼ばれる同様の手法は他でも採用されている話が続く。なるほどねぇ。

ネタ元は Slashdot

インターネットのカタチ―もろさが織り成す粘り強い世界―

インターネットのカタチ―もろさが織り成す粘り強い世界―

ヤフーに吸収合併されるクロコスがコミュニケーション志向WikiのCrowiを公開

ヤフーに吸収合併されるクロコスがその前に出せるものは出しておけということで、社内で使っていた Wiki ツールを Crowi としてソース公開とのことである。

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設計思想は「コミュニケーションツールとしてのWiki」で、シンプルさを大事にしてきたとのことだが、最近では新たな Wiki の公開というのもあまり聞かないので、これは Wiki 界(ってあるのか?)にとって大きなニュースである。

記法は Markdown を採用しており、これが今時のスタンダードなのだろうな。ライセンスは MIT ライセンスである。

Wiki+メーリングリストのqwik.jpが来年サービスクローズの予定

メーリングリストWikiを組み合わせたグループコミュニケーションシステム qwikWebホスティングサービス qwik.jp について、qwikWeb の作者並びに qwik.jp の運営者である江渡浩一郎さんが告知を出している

qwik.jp は既に新規のメーリングリストの作成受付を停止しており、一年ぐらいでサービス自体クローズするとのこと。

qwik.jp はワタシ自身長年に渡り非常に便利に利用させてもらっていた。具体的には飲み会連絡のメーリングリストだが、飲み会をやると決まれば、その日時、場所、参加者といった情報を集積する Wiki ページを作ることで情報を qwikWeb で一元管理できる。

この場を借りて改めて江渡浩一郎さんに感謝したい。これも Wiki にとって一つの季節の終わりなのだろうか。

パターン、Wiki、XP ~時を超えた創造の原則 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)

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Wikimedia Commonsができて10周年を迎える

誰でも自由に利用できる画像、音声、動画他の集積を目的とする Wikimedia Commons が開始10周年を今日迎えている。

そうか、Wikimedia財団が立ち上がって10年だったのは昨年か。

フリーライセンスの画像を探すのに重宝するし、ここでも Wikimedia Commons にアップロードされた美しい画像をいくつも紹介したことがある。最近は Wiki Loves Monuments のような面白い試みもやっている。

そういえば少し前にサルの「自撮り写真」の著作権を巡り騒動になったが、その写真は Wikipedia じゃなくて Wikimedia Commons にアップロードされたものなんだね。ReadWrite のようにそのあたりを思い切り間違って表記しているメディアがあるのは残念なことだ。

ワタシもここ数年は毎年 Wikimedia 財団にささやかながら寄付しているが、その一部は Wikimedia Commons にも使われているんやろうね。

江渡浩一郎が語るWikiが「分かった」瞬間

江渡浩一郎さん(写真がちょっと田辺誠一っぽくない?)のニコニコ学会β委員長としてのインタビューである。少し前もニコニコ学会βについて語る対談を紹介したが、ひっぱりだこですな。

ワタシとしてはニコニコ学会βの話ももちろん興味深いが、やはり Wiki についての話がもっと読みたかったりする。

この本を世に問うことになる最初のきっかけは、江渡自身が職場の情報共有にWikiを活用して得られた知見だった。複数のメンバーが情報を共有し、メンバー各自が情報を書き換え可能であることがWikiの大きな特徴なのだが、この「書き換え」と「共有」をめぐる意識の転換を江渡は体験した。

「最初は『(職場の情報を共有するWikiを)自分が使いやすいように書き換えたら、他の人には使いにくいものになるのではないか』と不安に思った。使っているうちに、『僕が使いやすいように整理しても、誰からも反対がないだろう』と思えた瞬間があった」

前提は、Wikiで情報を共有するメンバーと目的が決まっていることだ。江渡が感じた「メンバーの間で共通の理解と合意が形作られることを理解した瞬間」こそが「Wiki的なマインド」であって、「Wikiを使うにあたって一番重要な瞬間」なのだと江渡は言う。

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「メンバーの間で共通の理解と合意が形作られることを理解した瞬間」こそが「Wiki的なマインド」であって、「Wikiを使うにあたって一番重要な瞬間」とな。これテストに出るよ!

パターン、Wiki、XP ~時を超えた創造の原則 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)

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OpenStreetMapが開始10周年を迎えていた

誰もが自由に利用できる世界地図を作るプロジェクト OpenStreetMap は、2004年に Steve Coast が始めたものだが、先週10周年を迎えていたのね。

その Steve Coast(と現在彼が働く TeleNav)が、OpenStreetMap の成長を視覚化した動画を公開している。

大部分のネットユーザが利用する地図サイトというと今でも Google Maps だろうしワタシ自身もそうだが、Google Maps があっても OpenStreetMap はやはり必要なのだ。O'Reilly Radar の記事では、ハイチなど地震による被災地での活動に OSM のデータが活用された話や、今やガザの地図情報では OSMGoogle Maps に完全に勝ってるんだな!

『ウィキノミクス』の続編『マクロウィキノミクス』の邦訳が昨年末に出ていたのか

吉岡弘隆さんの日記を見て、ドン・タプスコット、アンソニー・D・ウィリアムズ『ウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へ』の続編『Macrowikinomics: Rebooting Business and the World』の邦訳が昨年末に出てたのを今更知った。

マクロウィキノミクス

マクロウィキノミクス

思えば、ワタシが原書を「Wikiについて語るときに我々の語ること」で取り上げたのは2011年のはじめで、邦訳が出るまで意外にも時間がかかったことになる。

ギークフェミニズムWiki運営の歴史を振り返る

Geek Feminism が運営する Geek Feminism Wiki の歴史を振り返るプレゼンのスライドである。

screenshot

ギークコミュニティにおけるセクシズムの問題は時に話題になるが、ギークでしかもフェミニストを謳う人たちのコミュニティが Wiki を立てたわけだが、「ここは Wikipedia ではない」という宣言がある。飽くまでフェミニストの観点に立つことが重要であり、その点において中立ではないし、対立する意見も併記する必要はなく、出典は要しない(生きた経験こそ価値があるから)というポリシーを打ち立てているのは Wiki の種類によっては重要なことだ。

Wiki の開始は2008年だが、まだこの頃は FOSS 界隈の大物もフェミニズムの観点から問題ありの発言をしていて、その例もスライドに出てくる。その後で面白かったのは、この Wiki の主要貢献者にして管理者権限を持つ人物がハラスメントを行っていたことが明らかになり、その人物を切ることになった話とか。

成功した Wiki の運用の歴史を語るプレゼンというのも意外に少ないのでありがたいし、6年の歴史から得た教訓など参考になる。

ネタ元は O'Reilly Radar

OpenStreetMapの編集密度マップ

ボランティアが作成し、自由に利用できる世界地図を作る共同作業プロジェクト OpenStreetMap だが、これで世界でどこが地図作成が活発に行われているか一望できる編集密度マップが見れる。

OSM はイギリス発祥なのでヨーロッパが一番だが、これを見ると日本も光り輝いてるな。

そういえば少し前に ReadWrite Japan に「150万人のボランティアが作る地図がGoogleマップを超える日はくるか」という記事が公開されていたが、OpenStreetMap の現在の採用状況の概観を知るのによい感じである。

ネタ元は Hacker News

位置情報ビッグデータ (NextPublishing)

位置情報ビッグデータ (NextPublishing)

映画『グランド・ブダペスト・ホテル』に写る新聞の文章はWikipediaからとられていた

kingink さんのツイートで知ったのだが、ウェス・アンダーソン『グランド・ブダペスト・ホテル』の画面に写る新聞の文章は、Wikipedia の「音楽」や「カーニバル」や「雪崩」のページ(もちろん英語版ね)からとられていたそうだ。

つーか、kingink さんも書いているが、なんでそんなのに気付くんだよ! 世の中おかしな才能を持った人がいるものだ。

Wikiaのライセンス問題とソニーとのコンテンツの連携の話

Wiki ホスティングサービス Wikia は、2003年まではそのユーザ作成コンテンツのライセンスは CC-BY-SA だったけど、後に商用利用を禁じる CC-BY-NC ライセンスも適用されるようになり、2012年には非商用コンテンツへの遡及条項が追加され、CC-BY-NC ライセンスとのデュアルライセンスになったらしい。

先日 Wikia はソニーとアプリケーションによるコンテンツの連携に合意したが、スマートTVへのコンテンツ表示って商用利用じゃないかい。こういう利用って最近いくつかあるけどどうよ? という Slashdot のストーリーである。

うーむ、ソニーとの提携の話すら知らなかったな。Wikia は元々ジミー・ウェールズとアンジェラ・ビーズリーが始めた会社だが、少なくともビーズリーのほうは離れているし、ウェールズにしても Wikia 絡みの話は聞かないので多分同様なのだろう。

WirelessWire Newsブログ第16回公開(早すぎたHyperCardの上昇と下降、そしてモバイルから来たカードの群)

WirelessWire Newsブログに「早すぎたHyperCardの上昇と下降、そしてモバイルから来たカードの群」を公開。

えーっと、分かる人には分かるが、分からない人にはなんじゃこりゃなタイトルをつけてしまったが、実は今回はタイトルが決まらなくて苦しんだのだった。仕方ないので今回はどういう文章か考え直し、HyperCard の思いもよらない復活(?)についての文章なので、復活といえばと何かないかと連想したところでデヴィッド・ボウイが浮かび、『ジギー・スターダスト』のアレを連想して大笑いし、すぐにタイトルが決まった。

なお、今月は WirelessWire News ブログに2つ文章を書いたことになるが、そうしたペースで書くのは今月が最後になると思う。これの意味するところはまた追って明らかになるだろう。

ジギー・スターダスト

ジギー・スターダスト

Wikimedia財団の大口寄付者はWikipediaの「中立的な観点」に違反している?

Wikipedia における編集でもっとも忌避されるのは「中立的な観点」に反することで、ある項目の当事者やそこから資金を得た者が編集に関わることは禁じられている。

インターネットにおける Wikipedia の最大の批判コミュニティを自認する Wikipediocracy というブログが、実際には Wikimedia 財団に大口の寄付をしている団体がこのポリシーに違反してないかい、と告発している。

ちょうど利用規約の有償受託寄稿についての改訂の意見受付が3月21日までと迫っており、そのあたりがつつかれているらしい。ふーむ。

ネタ元は Slashdot

インターネットで正しい答えを得る最良の方法:「カニンガムの法則」とは何か?

これも Hacker News で知ったのだが、Cunningham's Law というのがあるらしい。「カニンガムの法則」とは何か?

それは「インターネットで正しい答えを得る最良の方法は、質問をすることではない。そうでなく間違った答えを投稿することだ」というもの。

法則名のカニンガムとは、Wiki の父である Ward Cunningham にちなむものだが、これ自体を言い出したのはワード自身ではなく Steven McGeady らしい。

彼曰く、Wikipedia こそこの法則の一番よく知られた実例かもね、とのこと。

うーん、それを言うなら「ウェールズの法則」といったほうが良い気もするが、この法則が言わんとすることは分かるし、それは Wiki の本質に関わることなのだろう。

Wiki Way―コラボレーションツールWiki

Wiki Way―コラボレーションツールWiki

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