気付いていない人が多いようだが、雑誌の多くには表紙にうたい文句があり(業界用語では何というのかな)、それはその雑誌の所信表明であり、目指すところを明確に示したものである(はずだ)。
ロック雑誌 rockin' on は、創刊から長らく「21st Century Schizoid Magazine」を掲げてきた。これは言うまでもなくキング・クリムゾンの「21世紀の精神異常者(21st Century Schizoid Man)」をもじったものである。80年代に入り、クリムゾンの総師ロバート・フリップが来日したとき、渋谷陽一が嬉々としてそのことを伝えたところ、フリップは鼻で笑ったというのは有名な話である。
現在では「21世紀の精神異常者」というのはマズいらしく、「21世紀のスキッツォイド・マン」なる何とも間が抜けた邦題がついている。ふざけた話である。
さて、そのキング・クリムゾンのオーディションを受け、落ちたことがあるボーカリストといえば、
ブライアン・フェリー
20へぇ、と言いたいところだが、フェリーさんの名前を出してもピンと来ない読者がほとんどだろうか。思い出したが、上の話はかつて「カルトQ」でも問題になってました。
件のオーディションから約十年経ち、1982年の(フェリーさん率いる)ロキシー・ミュージックのツアーでは、クリムゾンが前座をつとめたのだから時の流れは恐ろしい。それから約二十年経ち、ワタシがクリムゾンのライブを観て、フリップ教祖のギターワークに平伏すのだから何が起こるか分からんよね。
それはともかく「21世紀の精神異常者」を熱唱するフェリーさんを見てみたかった気もしますね……って、書き出しとまったく違う話になってしまったじゃないか!