- 作者: 太宰治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/02
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 124回
- この商品を含むブログ (177件) を見る
突発的に書いてみたらなぜか好評だったので二回目を迎えた「YAMDAS世界文学全集」、第二回目は、日本人なら一度は読んだことがあるであろう名作『走れメロス』です。
今改めて太宰の短編を読むと、その短さに驚きます。『走れメロス』はその典型で、手元の新潮文庫版で16ページしかありません。それだけの分量で、この友情の尊さを謳いあげる名作が成り立っているのです。現在は全文青空文庫からダウンロードできますが、それすら読む暇がない多忙な方々のために、この短編の感動のラストに加筆修正した、『走れメロス』凝縮版を作成してみました。
ひとりの少女が、緋のマントをメロスに捧げた。メロスは、まごついた。佳き友は、気をきかせて教えてやった。
「つーか、お前何でフルチンなわけ? 大体お前がアフォみたいにのこのこ城に
押し入るからこんなことになったんだろ。目つきのヤバい少年がナイフをシュッ・シュッって歳かよ、このヴォケ。考えなしの手前のせいで、俺は磔にされるは、手前の妹は無理やり結婚式を早めさせられるは少しは他人のことも考えろよ、自己中野郎。俺が殺される寸前までもったいつけて、ウケ狙いのストリーキングで登場とはいい度胸してるじゃねえか。」
勇者は、ひどく赤面した。
斎藤美奈子も書いてましたが、『走れメロス』は今読むとかなり無茶苦茶なストーリーです。その『走れメロス』よりは『メロスのばか』が適当なこの無茶な話が名作たるところに物語のダイナミズムがあるとも思いますが。
えーと、次回はもう少しマジメに書きます。