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アバウト・ア・ボーイ

普通は、この映画をヒュー・グラントが他者とのコミットを通して一種の改心と成長をする映画として観るのだろうが、クリスマス・ソング一発屋ヒットを飛ばした親の遺産で悠々自適の生活を送るなんていいねぇと直球に思い、また「あー、メンヘルと関わると面倒ですな」などと思いっきり一部の方々から反発を買いそうなどことを素直に思ってしまうワタシのような冷血漢には向いていない映画なようだが、案外楽しめた。

やはり、ヒュー・グラントがよい。彼の映画では『ノッティングヒルの恋人』のようなラブストーリーも好きだけど、本作のような空っぽな二枚目役をやらせるとピカイチ。自分の見立てでは二歳の子持ちに相応しいと思っていたのに、十二歳の子供の靴を選んでいるときに「お父さん」と声をかけられ浅く動揺するところなど特に。

この映画を楽しめたのはヒュー・グラントに対する子役のキャラクター設定のうまさもあるだろう。また彼を、たとえばハーレイ・ジョエル・オスメントがやっていたら印象はまったく違っていたはずだ。あとトニー・コレットは、本作にしてもオスカーにノミネートされた『シックス・センス』にしても、撮影当時三十路前だったのに10代の男の子の母親の生活疲れを見事に演じている。『エマ』の頃はすごく可愛らしかったそうだが、今では驚異の老け役女優である。

最後の歌のシーンはいったいどう収めるのかとハラハラしたが、うーむ、そうきたか。でも、ヒュー・グラントが引っ張るのはあからさまに辻褄合わせだよね。

このシーンはともかく、本当にポップミュージックを好きな人が考えて選曲した音楽の使い方になっていたのがよかった。この傾向は最近のイギリス映画に顕著で、小賢しいと見る人もいるだろうが、ワタシなどは素直に嬉しい。

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