- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2010/05/12
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クエンティン・タランティーノという人は言うまでもなく当代を代表する映画監督であり、ワタシも好きなのだけど、それこそ『パルプ・フィクション』を観たときから、どうにも感覚にあわないところがあった。
それが極端に出たのが『キル・ビル』で(Vol.1、Vol.2)、ワタシもあの映画を誉めたけれど、やはりあれはそういう映画だから、という言い訳なしには楽しめない映画だった。傍から見ててさらに趣味性によったように見えた『グラインドハウス』ははじめからスルーさせてもらった。
本作にしても、ワタシのように映画的教養が乏しい人間だと、冒頭におけるマカロニウェスタン風の音楽がヘンに感じられたし、やりたい放題なクライマックスを前にして、やはりこの人とは合わないなと感じてしまったのだが、この映画が面白くなかったのかというと全然そんなことはなく逆で、すごくよく出来た娯楽大作だった。
娯楽大作というにはグロ趣味が過ぎるし(ただ意外にも流血自体は他の作品に比べると控えめ)、例によって本作も2時間半と長いのだが、第一部が顕著なのだが緊張感を保つ演出が見事でまったくダレない。また本作はひねりというか逆転の構図がはっきり打ち出されていて、KingInK で白文字で書かれているところも、タランティーノの巧妙なずらしとして好意的にとらえている。
役者では、英独仏伊と四ヶ国語が必然性をもって使われる本作はナチの大佐役のクリストフ・ヴァルツによって実現したといえるくらいのもので彼の存在感がピカイチだし、家族を虐殺されナチスに復讐を誓う映画館主役のメラニー・ロランも素敵だったな。