- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2009/05/13
- メディア: DVD
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原作はカート・ヴォネガットのワタシも深く深く愛する代表作で、映画版も観たいと思いながら DVD をレンタル屋で見つけられなかったのだが、原作者の死が契機となったか再発されていた。
ヴォネガットはこの映画版について「小説よりよくできている」と評したらしいが、そんなわけねーだろ(笑)
しかし、タイプライターの音がそのまま銃撃音につながり、雪景色の戦場をひょこひょこ走る主人公をバックにグレン・グールドのピアノが入るオープニングは秀逸で名作を予感させる。
「時間から解き放たれた」原作をどう映画にできるのだろうと不安に思っていたが、意外にも原作に忠実な映画化の部類に入るのではないか。もちろんキルゴア・トラウトやエリオット・ローズウォーターなど刈り込まれた登場人物やエピソードはあるし、主人公の妻とモンタナ・ワイルドハックについては、もっと落差のある女優さんをあてたほうがよかったのではといった細かい不満はあるが、さすがはジョージ・ロイ・ヒルというべき割り切るところは割り切った作りの快作である。
もちろん原作には及ばないが、人々の死をステージフライトの状態で傍観することしかできない主人公の痴呆的な悲しみを確かにこの映画にも感じることができる。ドレスデンの描写はよくできているし、おそらくは監督もここに一番力を入れたのだろう。
ただしラストはそれで終わりかよ、という感じでちょっと残念だった。