- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- 発売日: 2011/03/04
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1962年のキューバ危機下のロサンゼルスを舞台に、長年のパートナーを亡くし失意の大学教授の一日を描いた映画である。
郊外の家族、同性愛者、銃という小道具、主人公に麻薬の話をもちかける若者、そして何より主人公の「ある一日」を描く映画であるところなど『アメリカン・ビューティー』との類似性を感じた。
思えば『アメリカン・ビューティー』の監督のサム・メンデスはイギリス人で、本作も「ロンドン」という単語が若かりし日の象徴として出てくるが、原作者はイギリス人だったと思う。
そして、主人公を演じるコリン・ファースもしかり。ワタシが以前好きだった女性が好きな男優で、彼の主演作を映画館で観るのははじめてだ。彼の演技は哀しくも心に満ちるものがあった。ワタシが好きなジュリアン・ムーアがさすがに老けたと思わせる撮り方なのに対し、マシュー・グッドなど本作が一番良かったし、主人公と短い時を過ごすスペイン生まれの男性などやはり男が素敵だったね。
『アメリカン・ビューティー』はブラックコメディーの秀作で、本作は作風がまったく違うし、映画としてのレベルも遠く及ばないが、クローズアップとスローモーションを多用して視線や匂いへの執着を強調しながら、映画の最後に主人公がある精神状態に到達するまでを丁寧に描いていたと思う。
本作への不満点を一つだけ挙げるなら、バックで流れる音楽が一辺倒でひねりがほしかった。ただ本作も『17歳の肖像』同様ビートルズ以前の時代を舞台にした映画なんだね。