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ASCAPがフリーカルチャーへの戦争を宣言続報

こないだ書いた ASCAP がフリーカルチャーへの戦争を宣言した話だが、その矛先となった団体の反論も揃った。

反論は予想通りだけど、面白かったのは電子フロンティア財団Rebecca Jeschke が、EFF が提案する Voluntary Collective Licensing(自発的集合ライセンス)の話をしているところ。

自発的集合ライセンスについては『デジタル音楽の行方』でも取り上げられている。以下、197-198ページから引用。

 自発的集合ライセンス著作権者が一丸となり、自発的に包括ライセンスを与えることができる。この解決策なら現在の著作権法を変更する必要はまったくないし、著作権者に価格決定権が残る。この手法は過去七十年間、ラジオや放送に対するライセンスに採用されてきたもので、その管理のために著作権管理団体が設立された。アメリカではASCAP、BMI、そしてSESACが設立以来ラジオ局やテレビ局から手数料を徴収し、それを出版社やライターに分配してきた。ヨーロッパでもそれにあたるものが、PPL(イギリス)やGVL(ドイツ)といったアーティストや原盤保有者のためにお金を徴収する対応する団体と協力している。

 レコード会社と音楽出版社は、準拠する法律を何ら変える必要なくそうしたシステムの運用を進められる。二〇〇一年の時点で、不運な「旧」ナップスターは十億ドルでこの構想を受諾することを申し出たが、拒否された。人気のあるKazaa P2Pネットワークを所有するシャーマン・ネットワーク社と新たに設立されたワシントンD.C.P2P United財団は同様の試みに着手しており、現在ワシントンとブリュッセルの両方で議員の関心を得るべくロビー活動を行なっている。ほぼすべての権利保有者とその出資者がこのライセンス手続きに同意し、その結果妥当なパイの分け前と引き換えにお決まりの訴訟の嵐を禁じ、先送りにする必要があるというのが乗り越えられない問題に思える――これは前代未聞の条件である。驚くことではないが、今のところ巨大エンターテイメント企業は、自発的集合ライセンスのプランの推進にまったく興味を示していない。

というわけで、『デジタル音楽の行方』の著者は自発的集合ライセンスの普及は難しいと考えており、かわりにウィリアム・フィッシャーの『Promises to Keep』を理論的基盤とする強制ライセンスを推している。

さて本題に戻ると、ASCAP のフリーカルチャー敵視は妥当ではないと思うわけだが、NMPA(National Music Publishers Association:米国音楽出版者協会)の CEO である David Israelite が講演の中で、ASCAP に加勢する形でフリーカルチャー団体を攻撃している。

さすがにこれには Public Knowledge も What ASCAP Doesn't Understand という反論を寄せているが、フリーカルチャー団体が攻撃対象となるトレンドが続くとしたら残念なことである。

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