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イン・アメリカ/三つの小さな願いごと

友人のベンジャミンが DVD を貸してくれた。思えば昔『マイ・レフト・フット』も貸してもらったが、ジム・シェリダンの映画が好きなのだろう。こないだ観た『ブラディ・サンデー』も彼が製作総指揮だったが、自らのルーツであるアイルランドについての映画が多い人である。

本作はタイトルからアメリカに移り住むアイルランド移民の話なのは予想できるわけだが、ワタシは勝手に昔の話だと思っていた。これはジム・シェリダンの半自伝的な物語なのね。脚本も彼と2人の娘さんで、最後の献辞を見る限り、生後間もなくこの世を去った息子さんも実在するのだろう。

つまり、この映画はシェリダンの家族の物語なのだが、この家族を演じるキャストがみんなよい。特に2人の娘さん役の演技が自然なのに感心したが実際の姉妹とのこと。姉が歌う "Desperado" は物語上必要なのかは分からないが確かによかった。

派手な見所のある映画ではなく、お父さんがニューヨークの街中を中古のエアコンを引っ張り歩き、露店の ET 人形(およそ30年前が舞台なので)をとるのに有り金全部をつぎこんだりといった家族のドラマが楽しめるかにかかっている。個人的には、お父さんとマテオが対峙し、やりとりからマテオがまもなく死ぬことを悟る場面にハッとした。

本作の副題は「三つの小さな願いごと」で、姉娘が行う三つの願い事、普通に考えれば母親の出産の場面でするはずだが、この映画ではそうしない。最後の願い事はある意味とても残酷なものなのだが、それゆえに涙してしまったね。

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