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ベスト・オブ・2024――今年のWirelessWire News連載を振り返る

はじめに

昨年も書いたが、今年もただただ WirelessWire News 連載のテンションを落とさないことに専心した年だった。

そして昨年は、それに続けてこう書いている。

ワタシにとっての「ベスト・オブ・2023」で上記連載の話をしても面白くないので、今回は文章ではなく、今年撮った写真から10枚選んでみた。

2023年の10枚――今年失われたものを中心に - YAMDAS現更新履歴

今年はもはや、ワタシの人生自体が WirelessWire News 連載に浸食されてしまった年なので、「ベスト・オブ・2024」ということであれば、この連載を振り返るしかない。

1月

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放っておくと人工知能(AI)の話題になりがちなので、2024年最初の原稿は、とにかくそれ以外を主題にしたかった。

アニール・ダッシュがぶちあげたように、今年が「ウェブ・ルネッサンス」の年だったとは思わないが、彼の肯定的な意志は、モリー・ホワイト(その1その2)などに引き継がれていると思う。

ただ、この文章であえて肯定的に使っている「weird」という形容詞が、今年ドナルド・トランプ陣営を評する言葉としてバズったときは少々居心地が悪かったな。

2月

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AI 以外の話題で、という新年の誓いはあっさりと翌月には覆された(笑)。

この文章は3つのパートからなるのだが、実はそれぞれがまったくつながっておらず、しかし、文章を通して一定のトーンがあって読ませてしまうというトリックを目指したつもりである。

3月

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ティム・バーナーズ=リーオープンレターを訳しながら、同時にこっちの文章の構想を練るという手間のかかることをした。

たまたま読んでいた『The CODE シリコンバレー全史 20世紀のフロンティアとアメリカの再興』から引かせてもらったが、この本とても良いところもあるのだけど、なんだこれという間違いが細部に多くて、その訳者に16年ぶりにメールしたところ、やはり原書の誤りで、あまりにも誤りが多いのでそのまま訳したという回答だった。

4月

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昨年夏に New York Times のマイク・マズニックを紹介する記事を読んで以来、何か彼について書けないかとずっと思っていたのだけど、Bluesky のジェイ・グレーバーCEOのインタビュー記事を読み、これは今いけると書き上げた会心の一撃である。

しかし、例によって長すぎるよね(笑)。

5月

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これは、ティムニット・ゲブルとエミール・P・トレスによる TESCREAL 論文が公開されたのを受けて、それから後半に SF 作家自身による SF 脳批判につなげて書かれた、またしても会心の一撃……と書きたいところだが、あまり話題にならずにがっかりしたのを覚えている。

まぁ、いくらなんでも長すぎるからね(笑)。毎回毎回、3回分くらいの内容を詰め込むのはよくないよなぁ。

今年が SF 脳の弊害があらわになった年だと思います。

そういえば昨年に TESCREAL を取り上げた際に、ダグラス・ラシュコフ『デジタル生存競争』につなげているが、本文で取り上げた TESCREAL 論文の謝辞にダグラス・ラシュコフの名前があり、ワタシの見立ては間違ってなかったようだ。

6月

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このあたりから、とにかく少しでも分量を短くというのを意識するようになった。これでもな!(笑)

Google 検索の AI 概要については、最近もバカすぎるトンデモ回答が批判されているのはご存じの通り。

7月

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以前から、近年のティム・オライリーの文章を日本で紹介する人がいないのを不満に思っていたので、それを自分でやった次第。予想したよりも評判が良くて、嬉しかった。

しかし、ティム・オライリーの研究をまとめた本、まだ特に情報がないのだけど、ちゃんと出るかねぇ。

8月

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サム・アルトマンを取り上げるでも OpenAI でなく UBI の方向から取り上げるという変化球だが、彼の中で AGI(OpenAI)、UBI、Worldcoin はかっちりつながっているのだと思う。そして、UBI は筋がよいソリューションだという確信もあったろう。それだけに、その大規模調査の結果が期待通りでなかったことをどう思っているか興味あるところ。

9月

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あえてニュースメディアを取り上げてみた。が、日本の読者にはあまりピンとくる話題ではなかったのか、期待した反応を得られなかったように思う。日本の(独立系)メディアの当事者たちから、批判でもなんでもよいので反応がもらえると思っていたのだけど、場末の雑文書きの文章なんて誰も読んでないのだろうか。

10月

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これは「有害な創業者らしさ」というフレーズが浮かんで文章になった感じ。いろいろ反論が寄せられることを予想というか、半ば期待していたところもあるのだけど、特になかった。

まぁ、この文章で一番書きたかったのは、実は「ハードシングスおじさん」というフレーズだったんですけどね。

そういえば、この文章で取り上げた Make Sunsets のアカウントが、ワタシの投稿を引用 RP して、「俺たち『ビッグ・イン・ジャパン』じゃん!」と投稿していて、苦笑いしてしまった。

We're big in Japan!

[image or embed]

— Make Sunsets (@makesunsets.bsky.social) 2024年11月21日 13:06

11月

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この回くらいから、タイトルを見ただけでは何の文章か分からなくなる。これはとにかく書くのに苦労した文章である。毎回毎回、クソ長い文章を書くのは苦労するに決まっているのだが、やはり気持ちがひどく落ち込んでいたところが大きかったと思う。

12月

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そして最新回だが、いよいよ、タイトルだけ見たのではテック系の文章とは思えないものになっている。

これについて「記事タイトルが目を惹かない」という感想はよく分かる。というか、それを目指した。とにかくバズるべくキャッチ―なタイトルをつける、という今では当たり前のやり方に背を向けたかった。

先月にも増して気分の落ち込みがひどく、書くのは難航した。本来この週末に書こうと決めていたところで一行も書けず、かなり気持ちが焦り、不眠症にもなった。

はじめから採算度外視の仕事なのは分かっていることだが、健康を害してまでやるべき仕事ではないはずだ。

明るい話題として、来年新しい仕事が入る予定で、それについては来年告知できたらと思うが、ともかくこの連載にだけ思いつめたような文章を書くモードは脱しないといけない。

でも、この文章、mixi2 が公開される前に掲載されてよかったよ。mixi2 が盛り上がった後にこの文章を掲載してもバカみたいだからね。それで改めて、自分を締め上げるように文章を書くのにどれだけ意味があるのか考えてしまったね。

トカトントン

おわりに

この文章は、2024 Advent Calendar 2024 の第19日目の記事として書かれています。昨日は Nagasena さん、明日は dannna_o さんです。

taizooo さん、毎度ながら、今年もお声がけくださりありがとうございました。

このブログは、年内あと一度くらい更新するかな。

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