こないだ Boing Boing で David Pescovitz が New Order の最新ライブの感想にあわせ、なぜか1981年という30年以上前の彼らのライブ映像を紹介している。
そのバーニーとギリアンがギターを鳴らす "Ceremony" がとてもよくて、思わず彼らのビデオを YouTube で探したら、Rhino UK のチャンネルに高画質なビデオが公開されていたので、傑作揃いで知られる彼らの PV を堂々と紹介できる。
ご存知のようにピーター・フック抜きの3人(今は4人か)がライブ活動を再開し、新作も作るという話が出る一方で、フッキーもジョイ・ディヴィジョンに続いてニュー・オーダーの初期作の完全再現ライブをやると息巻き、お互いをインタビューで罵り合うという25年近くファンの人間にとっては悲しい状況だが、こうして彼らの全盛期のビデオを観て、今は亡き姿は偲びたい。昔も同じような文章を書いた記憶があるが、気にすんな!
このビデオ初めて観るよ! と興奮したのだが、調べてみたら『ベスト&ストーリー』(asin:B000AA7AM6)のボーナストラック扱いで入っていた。この頃から独自のポップさが開花し出したんだね。
米インディ・ロック系サイト Diffuser.fm が選ぶ「ニュー・オーダーのベスト・ソング TOP10」で1位になっているが、さすがにそれは過大評価だろう。
言わずと知れた傑作ビデオで、監督は『羊たちの沈黙』の、というより史上最高のコンサート映画『Stop Making Sense』のジョナサン・デミ。
デミは迫力あるドラムサウンドの画を撮ろうと思ったら打ち込みでずっこけたそうだが、鍵盤をぎこちなく押さえるスティーヴン・モリス、チンポの位置まで下げたベースで主旋律を弾きまくるフッキー、バーニーの死ぬほど下手な歌、そしてギリアンの厚化粧が一つとなり、見事なバンドマジックに結実するスタジオ演奏をとらえている。
面白いのは、このビデオが途中までほとんど演者の顔しか映さないところ。これは『Stop Making Sense』における客席をほとんど映さない手法に通じるものがあると思う。
この曲自体がワタシがニュー・オーダーで一番好きな曲というのもあるが、ビデオとしても彼らの作品で一番好き。
ただのドタバタ劇のようで、人間が表現するということ、コミュニケーションをとるということをこんなに上手く表現した PV をワタシは知らんよ。バーニーの「一見何か意味ありげなことを歌っているようで、実は何の意味もない歌詞」もよくあっている。
ところで、このビデオにはフッキーがまったく登場しないのだが何故だろう。
1990年のサッカーワールドカップにおけるイングランド代表公式応援歌(!)にして、堂々の全英1位シングル。
当時のイングランド代表と一緒に歌えて死ぬほど嬉しそうな男3人と、「まったくもう…」と呆れ顔なギリアンの対比が笑える。途中で出てくるハゲ親父はリリー・アレンの父親。
しかしこのビデオ、ゴールシーンやキーパーのセーブシーンなどかっこいいプレイ映像がまったくない、という意味で実はしっかりニュー・オーダーらしかったりする。
映画『24アワー・パーティ・ピープル』でおなじみファクトリーが倒産し、ロンドンレコードに移籍したおかげか、何か映像がゴージャスになってるが、彼らの90年代を代表する名曲である(というか、90年代1枚しかアルバム出してない……)。
この曲についてはビデオがエッチなことや、まさかの日本語バージョンの発表が話題になったが、ここでいったんバンド活動が止まってしまうとは思わなかったよ。
なお、Rhino UK チャンネルには2006年のグラスゴーでのライブ(asin:B001AIRVGC)からの映像も観れるが、紹介するならやっぱりこの曲だろうか。
ロック史上に残る原曲(ビデオがやはり Rhino UK チャンネルで観れるぞ)には及ばないが、すごくかっこいいよね。
ここまでこじれてしまった以上リユニオンは不可能だろう。ハシエンダ絡みの話についてはワタシはフッキーに分があると思うが、この際誰か超能力をお持ちの方、フッキーの意識を乗っ取って、バーニーの前でエクストリーム土下座をしてくれないものか。
- アーティスト: JOY DIVISION/NEW ORDER
- 出版社/メーカー: RHINO
- 発売日: 2011/06/02
- メディア: CD
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