先月末で死後二年が経ったルー・リードだが、ハワード・スーンズによる彼が「人種差別主義者で女性差別主義者のワイフビーターの怪物」だったことを暴露した伝記本が出たことが話題になった。
Notes from the Velvet Underground: The Life of Lou Reed
- 作者: Howard Sounes
- 出版社/メーカー: Doubleday
- 発売日: 2015/10/22
- メディア: ハードカバー
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Notes from the Velvet Underground: The Life of Lou Reed (English Edition)
- 作者: Howard Sounes
- 出版社/メーカー: Transworld Digital
- 発売日: 2015/10/22
- メディア: Kindle版
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ハワード・スーンズは「でも、彼は偉大なアーティストだった」とか取り繕っているが、彼が明かしている話はワタシなど概略知っていたもので、既に出ているルーの伝記本から彼のそうした側面を抜き出すことは容易に可能である。そういえば、レッグス・マクニール&ジリアン・マッケイン『プリーズ・キル・ミー』にも、ここに引用したらドン引き間違いなしのエグいルーについての逸話があったっけ。
この New York Times の記事では、ルーが「ワイフビーター」と書かれたことについて、前妻シルヴィアが反論しているが、正直ワタシにはどちらでもいいことである。表現者の人格的問題や底なしの性格の悪さは、その人と知り合いになるなり、ご近所さんになってから気にすればいいことだ。
基本的に表現者の人格と作品は分けて考える――当たり前の話じゃないだろうか? これが一種の言い訳とされがちなのは分かっている。しかし、ワタシはその人格に関する風評がよくなかったり、政治傾向が折り合わない表現者についてもこの原則をできるだけ守るよう心がけている。
まぁ、それはともかく Rolling Stone で、ルー・リードが死のおよそ半年前、アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズのライブに飛び入りした最後の公の場でのパフォーマンス映像が紹介されていたので見ようじゃないか。
曲はワタシも大好きな "Candy Says" で、もはや原曲の面影をとどめない自由なバージョンだが、彼が歌う「この身体からおさらばできたら、何が見えると思う」というフレーズにはもう言葉もない。