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クリード チャンプを継ぐ男

クリスマスの日にレイトショーでの鑑賞だったのだが、さすがこの日はシネコンもいつも以上にカップルだらけである。ワタシの席も両側カップルに挟まれてしまい、さすがにうへぇと思ったのだが……ん? 両側ともカップルというか……どっちも男2人組じゃないか! やはりこれは『ロッキー』のスピンオフという作品の力がなせる業か?

ともかく『ロッキー』はやはりワタシにとっても大きい映画で、『ロッキー・ザ・ファイナル』であのシリーズのまさかの有終の美を飾ってくれて、シルヴェスター・スタローンに深い感謝の念を抱いたものだ。

その『ロッキー』がアポロ・クリードの息子がリングに上がることで復活と聞いたときはカンベンしてくれよと端から期待してなかったのだが、やたらと評判が良いので観に行くことにした。

この映画はスタローンの脚本・監督作ではなく、ライアン・クーグラーという黒人監督のメジャーデビュー作である。スタローンは、この新鋭監督による『ロッキー』シリーズの続編という蛮勇といってよいチャレンジに賭けたわけだ。

結果的にこの作品は、『ロッキー』第一作をいろいろな意味で裏返しながらトレースしている(最後主人公は、圧倒的な人気と実力を誇る白人チャンピオンと戦うのだ)……と書くとなんか『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』とエピソード4の関係みたいだが、思えば両者とも70年代後半の映画だし、なにか符合めいたものを感じる。

ポイントは、本作の主人公アドニス・ジョンソンがアポロの私生児という点で、これは年齢設定的な問題ももちろんあるだろうが、主人公を巡る状況が『ロッキー』第一作ほどやさぐれていない代わりにこの点が本作の捻りになっている。でも、主人公を演じるマイケル・B・ジョーダンが、本当にアポロの息子に見えてくるところにさすがと思ったね。

ロッキーと主人公の世代間ギャップやこのシリーズの過去作からの引用など必要なところをおさえながら、例えばラウンドを1カットで撮るなど長回しを交えるところなどやはり新鋭の監督が撮っただけあってスタローンとは当然違ったスタイルになっていて、フレッシュだ。ヒップホップ世代の主人公に対して70年代ソウルをかけるロッキーには笑ってしまったが、あのロッキーのテーマ曲の使い方もうまかったね。本作もやはりフィラデルフィアという街が大きな役割を果たしている。

本作については、スタローンが映画賞の助演男優賞に推されており、今更彼がロッキー演じてなんで? と思っていたが、そういうことだったか……これについてはワタシ自身について個人的にどうしても連想してしまうことがあり、観ていて胸が詰まった。そして、本作のエンドロールの後の献辞にワタシの涙腺は決壊した。

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