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マイク・モンテイロが「アイン・ランドはアホ」と指弾する先にあるシリコンバレー的価値観への批判

デザインコンサルタント会社 Mule Design の共同創業者にしてデザイン・ディレクターである Mike Monteiro の新刊 Ruined by Design を取り上げたエントリなのだが、試し読みできるサンプルチャプターが、ズバリ「アイン・ランドはアホ(Ayn Rand is a dick)」と掲げていて、面白がられている。

アメリカで今でもカルト的な人気を誇る小説家、思想家のアイン・ランドについて知らない人はそうですね、山形浩生の『肩をすくめるアトラス』書評を読んでいただければよいですかね。

マイク・モンテイロが指弾するのは、アイン・ランドシリコンバレーで支配的な価値観に及ぼす悪影響である。

シリコンバレーにようこそ。アメリカの端(文字通り)にあるリバタリアンの最後の拠りどころ。シリコンバレー、特にシリコンバレーベンチャーキャピタルは、高校生のときにアイン・ランドを読んで、偉大だと思い、その後考えを変えてない年寄りの白人男にほぼ牛耳られている(ここで公正を期すために、すべてのベンチャー投資家が怪物なわけはないことをお知らせしておく。事実、私と親しい人にも素敵な人は数人はいる。彼らはまさに例外そのものなんだけど。もっとも、本書を読むベンチャー投資家が皆、自分はその例外だと考えるだろうよ)。偉大なアン・リチャーズの晩年の言葉を引用するなら、連中は「三塁ベースで生まれておきながら、自分は三塁打を打ったと思っている」のだ。

なお、アン・リチャーズの言葉とされているものについては諸説あったような。ともかく、このサンプルチャプターでは Uber のことを滅多切りにしていて、シリコンバレーで支配的な独りよがりなリバタリアン的価値観、その源流にあるアイン・ランドの客観主義に批判的ということである。

著者のマイク・モンテイロの本業はデザインだが、「政治は我々の時代のデザインの問題だ」という文章を書いたり、「ファイズムとの戦い方」という講演をやったり、なかなか尖っていて、彼の新刊は現代世界の問題の原因(とそれに対して我々ができること)を「デザイン」に求めているということだろう。

「デザイン思考」の本は既にたくさん出ているが、こういうデザインについての本も邦訳出ると面白いんじゃないかな。

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