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英国の著名人が語る「一番嫌いな本」

boingboing.net

もともとは2003年、つまりは20年近く前に Independent 紙が行ったアンケートに基づく記事だけど、英国の著名人に「一番嫌いな本」を語ってもらうという企画で、Boing Boing もよくこんな古い記事を Wayback Machine から引っ張り出してきたものだ。

各界の著名人が回答しているが、日本ではなじみのない人も多いというのもあり、個人的に気になったのは以下のあたり。

まずは小説家のJ・G・バラードだが、彼が挙げるのはジェイムズ・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』である。

このジョイスのちんぷんかんぷんな小説は、何世代にわたり英文学の教授たちに食い扶持を与えてきたが、20世紀の小説における、難解さを突き詰める嘆かわしい傾向を象徴している。『フィネガンズ・ウェイク』は、モダニズムが自らの基礎を消失した最良の例である。

「ちんぷんかんぷんな小説」という点はワタシも同意見です。

脚本家、映画監督のリチャード・カーティスは、カート・ヴォネガットの『タイムクエイク』を挙げている。

彼は作中、これが最後の本だと宣言しているが、彼こそずっと最愛の、たった一人の作家なんだ。

最愛の作家ゆえにこれが最後とは言ってほしくなかったというわけで、これはひねった回答ですね。このアンケート時は、まだヴォネガットは存命だった。

映画監督のケン・ラッセルは、アイン・ランドの『肩をすくめるアトラス』を挙げている。

傑作という評判が名高いが、私にはアメリカの大企業がいかに素晴らしいビジネスをしているかを喧伝するファシストの暴論にしか思えなかった。とはいえ、とても巧みに書かれている。

このチョイスに一瞬ケン・ローチと勘違いしたが、ロックファン的には映画『トミー』の監督としておなじみか(というか、彼の映画は『トミー』しか観てない)。けなしながらも「とても巧みに書かれている」と添えるのは律儀だ。

アイン・ランドは、「アイン・ランドはアホ」と罵る人もいる一方で、スティーブ・ジョブズをはじめ、特にシリコンバレー人種の支持者に事欠かない。

俳優のイアン・マッケランは、旧約聖書の『レビ記』を挙げている。

古くさい法的ナンセンスに満ちてるのに、未だマジメに受け取ってる連中もいる。

聖書の中でも『レビ記』を指定するのは、やはり「あなたは女と寝るように男と寝てはならない」があるからだろうか。

そして最後は、世界的に有名なラジオ DJ だったジョン・ピールだが、マンチェスター・ユナイテッドを13度のリーグ優勝に導いた名将アレックス・ファーガソンの『マネージング・マイ・ライフ―知将:アレックス・ファーガソン自伝』を挙げている。なぜか?

オレはリヴァプールのサポーターなんだよ。

英国人のサッカー愛ならびに贔屓のクラブへの忠誠心に思いを馳せてしまう。

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